引き続き、市において決定した幼保一体化計画の素案についてお知らせします。
 ここでは、15日の市から説明のために開かれた議員総会で述べた事とあわせて、私個人の考えをお知らせしたいと思います。
 前提として、記事その1その2 をできる限りお読みいただければと思います。

 まずは、三木市の現状認識として、0~5歳児童数が20年間で全体として3割減少している中、保育所の児童数は増加している一方で、幼稚園の児童数が急激に減少している事は、共働きなど社会のニーズが大きく変わっているものと考えます。
 
 保育園が幼稚園の3倍の児童数となっている(幼稚園547人、保育所1574人)という事は、若い世代の多くの世帯が共働きをしており、もっと言えば、20年間の不況のせいで、共働きをしなければ生活が非常に苦しいという事を表しているのではないかと思います。

 奥さんが家庭に入り子育てをするという、これまでの伝統的な家庭観を否定するつもりは毛頭ありませんが、全体を見る中で、経済的な事情などによって、保育ニーズが高まっている事を示す客観的な統計の意味は非常に大きいものだと考えます。


 三木市内では、小学校全16校のうち、1学年10人未満の学校が4校もあり、少子化の地域間格差もあります。

 他に選択肢がある分だけ、小学校よりも人数が少なくなる幼稚園では、実際に休園・統合する園が出てきております。

 

 やはり、教育にはある一定の規模の集団というものが必要不可欠であります。

 幼稚園や保育園というのは、生まれてきたこども達にとって、初めて家庭から外の社会を経験する場であり、そこでは多くのこどもと触れ合う環境が必要であると私は考えます。

 また、勉強においても良い意味で競い合う刺激が必要ですし、特に体育では1学年に4、5人ではチームスポーツなどが全くできません。中学校では部活動がかなり限られてきます。

   

 幼稚園をただ単にこれまで同じように運営して、友達が少なくなり困るのは子供達ではないでしょうか。

  少子化が進む今、求められるのは、やはり、一定の規模の集団での教育の機会だと思います。  

 そのためには、集約する事で一定の規模を満たし、教育・保育ともに行える認定こども園への移行が最も良いと考えます。

   

 上記を踏まえた上で、今回示された市の計画「一部公立を維持しつつ、民間主導型の幼保一体化」という事については、細かい部分を除いて、基本的に賛成の立場であります。

 

 

 この間、反対派の方も含めて色々な意見を聞いてまいりました。


 反対論の中でまず多いのが、市は財政的な事ばかりを考えている行革のために幼稚園を廃園にしようとしているという意見です。

 

 この意見に対して、私としては共感できません。

 

 システムとして、こども園の保育料を除く運営経費は、公立の場合、全額市の単費であるのに対して、民間の場合、市の負担は1/4(残りは国県の補助)で済みますが、それをもって、財政にあてる事など、市は考えておりません。 

 

 その財源で兵庫県で唯一、保育料の無償化と、子供医療費の完全無料化を実現しようとしております。


 議員総会の説明資料では、「財政に与える影響」という試算があり、そこでは公設公営を継続した場合と今回の計画案(無償化実施を含む)を比較すれば、2020年までは今回の計画案を実施した方がコストが高い(赤字になる)という試算が出ています

 これをもって、財政優先という批判は完全に否定できます。


 しかしながら、私は今回の計画案で残念な点があります。

  これは議員総会でも発言した事ですが、「2021年から赤字でなくなって喜ぶ事ではないだろう」という事です。  

 つまり、赤字でなくなる要因は、子供の数が減る事であります。

 

 子供が減って、幼稚園を廃園しても余裕ができるという試算については、試算自体は公的な人口推計を使っているので仕方のないものです。

 

 ただし、理念としては、教育のための一定の集団の規模を確保するために、一番大事な事は子供の全体数を増やす事ではないかと思います。これは議員総会でも言いました。

   

 今回、計画案の理念の中で、幼保一体化とは別の政策だからという事で、保育料の無償化、こども医療費の完全無料化は入っていないのは残念です。

 

  三木市の子供が増えて、希望する子供が全員3歳からこども園に行く事によって、計画にない新たな施設が必要になったり、赤字で困るぐらいじゃないといけないと私は思います。

 

 幼保一体化は財政関係なく、子供達の未来のために、本当に覚悟を決めてやらなければならない問題だと考えています。

 

さらに言えば、保育料無償化とこども医療費無料化というシステムの面だけでは不十分だと考えています。

 

 今回の計画案は、かなり単純に言うと、施設だけをもって見れば、既存の公立幼稚園・保育園が担ってきた多くの部分を、民間保育園に任せるという事です。

 

 今まで公立幼稚園、公立保育所だけに通わせてきた保護者が不安に感じないはずはありません。知らないものは誰でも不安です。

 

 認定こども園の教育・保育の質を確保する事が、保護者の皆様の不安を解消する事につながります。

 

 質の確保という点では、市においても、幼稚園・保育園の先生による合同研修、独自の統一カリキュラムや、各園への指導主事の派遣などの対策を考えています。それだけで十分とは考えていません。

 

 認定こども園になれば、必ず、今までの民間保育園以上の教育をしなければいけないと私は考えており、今後、民間保育園等を視察する中で、具体的な政策を考えていきます。

 

 まずは、全体として保育士(※こども園移行後は保育教諭と言う資格になります)のマンパワー不足が言われている状況です。

 マンパワー不足を解消する、目に見える政策を提言していきたいと思います。

 

 また、法律上、こども園では保護者と施設が直接契約する事になっておりますが、これによって、こども園への入所を拒まれるのではないかという不安の声もあります。

 しかしながら、法律においても、例えば、市が入所要件を満たしたと認定した場合は、拒む事はできないとなっておりますし、保育料については無償化を打ち出しているところです。


 計画案では、こども園は園区制を導入する事になっております。

 私は、先日の議員総会で、園区を設定し、原則として居住地の園区の子供園に通園を求める以上、これまでの保育所と同じように紹介してもらえるように求め、市からもそのとおりにするという回答をもらっています。


 最後に地元自由ヶ丘については、1年半後には自由ヶ丘東幼稚園が、9年半後には、児童数の多い自由ヶ丘幼稚園が無くなるという計画案となっています。

   

 自由ヶ丘小、自由ヶ丘東小校区には、こども園が自由ヶ丘保育園の1つしかありません。

 

 園区制の導入という事もありますが、小学校との連携を理念に掲げる以上、希望者ができる限り、地元のこども園に行けるようにしなければいけません


 今後ともこれらの点をきっちりと見ていきたいと思います。