民生産業常任委員会で実施しました、今月3~5日の九州方面への行政視察と、9日の市内企業への視察内容をご報告します。


 まず行政視察の視察項目は以下のとおりです。

 1.大分県 日田市   商店街振興の取組 豆田町商店街

 2.福岡県 福津市   農業の6次産業化の取組 あんずの里

 3.福岡県 古賀市   ごみ処理広域化 古賀清掃工場

 4.福岡県 北九州市 高齢者の買い物困難度マップ


 まず最初の大分県日田市は、商店街振興、観光振興をテーマとした視察でした。

 現在、日田市では、中小企業振興基本条例を検討中という事で、既に制定済みの三木市の方が進んでいるところ(中小企業サポートセンター等)もありましたが、日田市の方が進んでいる取組もありました。

 私が注目した事業としては「きらり輝く繁盛店づくりセミナー」事業というものです。

 これは市が商品レイアウトの専門家を招いてセミナーを開催し、商店のレイアウトについて学び、アドバイスをもらえるという事業です。(セミナーの受講料以外は県と市が負担)

 これによって、下の画像のように商品が見やすくなり、観光客が足を止めて中に入るようになってくれるといった効果があったようです。

 この事業を機に、地元の豆田商店街では、専門家だけに頼らず、自分達でレイアウトを考える婦人会ができたと聞いています。

テレビでも、レイアウト変更によって売り上げが何割アップしたという特集を見た事があります。三木の商店街でも是非取り入れていただきたいと思います。



繁盛店事業

 庁舎での視察後は、豆田商店街の町並みを視察しました。

 豆田商店街は昔ながらの景観が保存されており、観光客も多く、祇園祭の山鉾が通るという関係で、一部では電柱の地中化も実現しておりました。実際に上記の画像の店も見てきました。


 次に、福岡県福津市では農業の6次産業化の視察として、あんずの里を視察しました。

 あんずの里は、九州でも最も早くできた直売所で、野菜の直売だけでなく、あんずの里で加工したり、業者に委託して、「あんずジャム」、「あんずドレッシング」、「あんずでポン酢」などの商品を販売しております。

 直売所を始めたるきっかけとなったのは、農家の奥さんたちが軽トラックで青空市を始めた事で、施設ができてからは、毎年売上が倍増するという状態だったという事です。

 近年では、競合する道の駅ができるなどで売上は落ちてきたという問題がありますが、あんずの加工商品など、ここだけでしか買えない商品を作って、売り上げアップをはかっているそうです。

 三木市には、酒米山田錦やぶどうといった特産品がありますが、それを活かした特産品はまだそれほど多くないと思います。市内農家の皆様にも是非頑張っていただきたいなと思います。


 次の福岡県古賀市ではゴミ焼却施設の広域化について視察しました。

 現状、三木市は今後5年間のゴミ焼却場の延命化を図っているところではありますが、逆に言えば、このままでは、あと5年間しか今の焼却場が使えないという事になります。

 現在、北播磨5市1町でゴミ処理の広域化(焼却施設)の協定を結ぶという話があり、今回、既に広域化しているという事で視察に至ったという経緯があります。

 視察先の玄海環境組合(古賀清掃工場)の施設は、建設当時にダイオキシン問題などで反対運動もあったという事もあり、ダイオキシンや、最終処分しなければならないゴミの量が非常に少なくなるよう、経費のかかる処理をしておりました。

 ゴミ処理の広域化と経費の問題、そして環境問題について、今後更に考えないといけないと思いました。


 最後の北九州市では高齢者買い物困難度マップについて学びました。

 買い物環境マップとは高齢者の出歩ける範囲を半径500mとして、高齢者の多い地域を赤い円でマッピングし、食料品店当を緑いろの円でマッピングして、その両方を合わせた地図を作って、赤色が残っているところが買い物困難者が多い所だと一目でわかるようになっています。


 このマップ作りは、高齢者福祉を所管する部門だけでなく、庁内の色々な部署を横断したプロジェクトチームで作成されたという事です。

 また、買い物環境マップを作るだけでなく、買い物環境に係る小学校校区別分析(地域カルテ)や、買い物支援のヒアリング調査買い物応援ネットワーク会議を開催して事例を紹介するなどの事業も実施しております。


 地域カルテとは、各小学校工区毎に、高齢者人口、公共交通機関、生鮮品店舗数、移動販売店舗数、その他地域活動の項目を点数化し、点数が高いほど買い物困難度が高いという事がわかる資料となっています。

 ヒアリング調査は買い物支援について、移動販売の事業者や買い物支援を行っている自治会などへのヒアリングを行い、ネットワークでの事例紹介などを行っています。

 また、北九州市の買い物困難対策は市民協働の観点から実施しており、私が非常に関心を持った事例を紹介したいと思います。

 ある自治会では、週に1回程度、買い物バスを走らせていますが、このバスは地元の葬儀会社がバスと運転手を無償で提供されているという事です。葬儀会社にバスを出してもらう交渉などは全て自治会の方が行ったという事です。

 他にも自治会で週に1度朝市を開催しているところもあります。

 高齢化で買い物に困っているという地域のために、企業も協力していただき、住民も行政に頼るのではなく、自分達で課題を解決する。今後ますます進む高齢社会で非常に重要な取組ではないかと思います。

 三木市でも是非参考にしたい取組だと思いました。


 次に、9日に実施した、市内企業への視察の内容を報告します。

 視察は以下の3社です。

 1.株式会社 ミヤナガ 建設用ドリル等 製造販売

 2.ヒシカ工業(株)    手引き鋸製造

 3.株式会社 イトー   金物卸業


 最初の株式会社ミヤナガは、従業員200人以上と三木の中では大きな企業であり、現在、社長は三木商工会議所の会頭をつとめていただいております。

 社長から会社概要や、工場見学も説明していただきましたが、私はミヤナガさんの三木で作って日本で世界で売ろうという「自前主義」の企業精神が非常にありがたいなと思いました。

 ミヤナガさんは製造、検査、販売と一貫して殆どのものを自前でまかなっていらっしゃいます。

 

 一貫した自前主義によって社員のノウハウの蓄積し、検査や製造のための高額な設備投資も惜しまず実施しステップアップを図るという経営をされています。これは古き良き日本式経営の姿ではないかと思います。人材確保の点でも、離職率が低いというお話でした。

 

 社長から景気の動向についてのお話も伺いましたが、やはり、アベノミクスによって円安になった事で、ドル建ての取引でかなり為替差益が出るようになった事、公共投資用のドリル等の需要が高まり、東京オリンピックまでの見通しは明るいという話を聞きました。

 一方で、原発停止後の電気料金の高騰は非常に厳しいという事と、中国経済の先行きが不透明だという話も伺いました。


 次に、ヒシカ工業さんでは、比較的小規模な工場での金物生産を視察しました。

 現在、建築工法が変わった事で、旧来の手引き鋸などの大工道具の需要が落ち込んでいる状況があります。

 そんな中、楽器や模型制作の用途など、新たなニッチな市場で三木金物の技術の需要があるという話をお聞きしました。

 西洋の楽器を作る道具は西洋にしかなく、困っていた所に、ヒシカさんに作って欲しいという依頼があり、制作したところ評判になったようです。

 また、趣味で模型を作る方からも注文があり、専用の鋸を作ると、今までにできなかった模型作りができたと口コミであっと言う間に広がったそうです。

 このように新たな事ができるのも、これまでに積み上げてきた三木金物職人の技術があればこそだと思います。
 日本国内での楽器工房の道具を作るといった新たな産業になるのではないかと感じました。

 

 最後に、株式会社イトーさんでは、金物卸業の動向について三木商工会議所の前副会頭の伊藤社長からお話を伺いしました。

 インターネットショッピングが発達して、卸の存在価値が問われたが、アベノミクス以後、特に物流コストが上がり、アマゾンのような販売手法が難しくなってきているとおっしゃっていました。

 ミヤナガさんと同様に、今後、公共投資を中心とした三木金物の需要は増えるだろうとおっしゃり、今後、新たな硬い素材を切ったり、穴をあけたりする技術が求められるだろうという話が興味深かったです。