1年半前にお知らせしました三木市議会の穂積市議と元校長を相手に三木市が提訴した裁判で、三木市側が勝訴し、両者に対して120万円の損害賠償が命じられました
 
 この事件は2007年に発生しました。三木市の市立小学校で、この学校に通う児童に虐待を受けた兆候があるのを学校関係者が気付き、学校側の通報で児童は保護されました。

 一方で虐待加害者の疑いのある父親は、穂積市議に相談しました。穂積市議は校長と接触し、校長は「この学校の養護教諭が関与した」と話してしまいました。
 この情報は穂積市議から父親に伝えられ、父親は養護教諭への接触を強く要求しました。

 直接の接触こそなかったものの、恐怖感を感じた養護教諭は精神的に追い込まれ、体調を崩して休職に追い込まれました。休職中にも教育委員会事務局などに対して、父親から養護教諭の動向を問い合わせる電話がかかってきたという事です。教諭はその後自殺に追い込まれました。

 教諭の遺族は2010年に三木市と穂積議員を相手に提訴し、判決では、校長及び穂積議員ともに、「職務行うにあたり、過失によって違法に養護教諭の人格的利益を侵害し、損害を与えた」と認めた一方で、原告側から「安全配慮義務違反」が主張されていた三木市としての対応については違反は認められませんでした。

 しかしながら、三木市が国家賠償法1条1項に基づく責任を負う(国・公共団体が賠償責任を負う場合、公務員個人はその責任を負うものではないという解釈による)という事で、三木市に対してのみ100万円の損害賠償義務を命じました。

 つまり、遺族の起こした裁判は校長と穂積議員の責任は認められ、三木市としての違反は認められなかったにも関わらず、公務員個人に責任を負わせられないという事で、三木市が100万円を支払ったという事になりました。

 三木市では、遺族に対しては控訴をせずに100万円を支払い、裁判で直接責任があると指摘された穂積市議、元校長に対して、その分を請求するという裁判を起こし、今回三木市の勝訴となったわけです。

 毎日新聞によると三木市は「情報漏洩が二度と起こらないよう再発防止に努める。(市議について)議会人として自らの責任の取り方を潔く決められることを望む」とコメントし、市議は「判決を読んでいないのでコメントできない」と話した。という事です。

 今回の裁判について率直な私の感想を述べますと、本来賠償金を支払うべき人間が支払いを命じられ、市民の皆様の税金が無駄にならずに良かったなと思います。

 既に公人ではない元校長はともかく、穂積市議は現職の市議として、市民の皆様に説明責任を果たさなければならないのではないでしょうか。

 穂積議員が現時点で説明責任を果たしているとは到底言えないと言うことは指摘しておきたいと思います。