今日は中国のシャドウバンキング問題を取り上げます。

 これは「影の銀行」というぐらいですから、普通の銀行融資ではありません。
 不動産プロジェクトに投資をする際や、地方政府が公共投資をする際に、お金を調達しますが、規制が厳しくて銀行が貸してくれない。そのため一般人からお金を集めて、シャドウバンキングが貸すという形です。


 シャドウバンキングが一般市民からお金を集める方法としては、債権を小口化、証券化して短期で高利率を謳い文句に「理財商品」を発売します。

 逆に言えば、高利で調達した金を地方政府に売るのがシャドウバンキングという訳です。


 このように、中国ではシャドウバンキングで集めたお金で、無制限に不動産投資を拡大してきたわけですが、もはや不動産のバブル崩壊が不可避の状態を迎えています。

 その最たる例が内モンゴルのオルドス市です。人口3万人のこの町では、なんと100万人分の住宅を作ってしまいました。もちろん、その帰結はゴーストタウンです。

 日本では考えられない事ですが、中国では地方政府までもがこのような無茶苦茶な過剰投資で財政破綻が避けられない事態となっています。

 100万人分の住宅を作るためシャドウバンキングから借りた負債は当然、不良債権になります。シャドウバンキングも潰れるでしょう。(そもそもシャドウバンキングには地方政府が運営している物も多いため計画倒産などもあると思います。)
 そうなって一番困るのは「理財商品」を買った一般市民です。


 共産主義のくせに社会保障がきちんとしていない中国では、老後に備え財産を増やすため、なけなしの預金を崩して、高利の理財商品を買う人が非常に多いと言われています。
 その債権が紙くずになる。これが中国の全土で起こればどうなるのでしょうか。


 IMFは中国のシャドウバンキングの不良債権は300兆円と試算し、中国政府に警告しています。300兆円の不良債権を処理できる国は世界のどこにもありません。
 ちなみに、日本のバブル崩壊後の不良債権は100兆円などといわれました。その3倍です。
 日本がバブル崩壊後あれだけ苦しんだという事を考えれば、中国はどうなるかは想像すらできません。


 この中国のバブル崩壊が本格化するのは来年度と言われています。
97年の消費増税の時、日本政府財務省は景気悪化の原因は「消費増税ではなくアジア通貨基金や金融システム不安だ」と強弁していました。
 来年、日本は消費税を増税します。その時に中国経済の崩壊「チャイナショック」に端を発したアジア金融危機が訪れる可能性のを考えると、15年前と嫌過ぎる符合があるのではないかと思います。消費税増税の失敗の言い訳になるのではないでしょうか。