昨日の記事で、日本は「デフレ圧力が高まる⇒円高⇒株安」という法則がある事を説明しました。

そして、景気回復、デフレ脱却のためには、円安・株高を維持すべきで、消費増税はその真逆であると書きましたが、他の要因は無いのでしょうか?


 円高に関する直近の問題として、毎年問題になっているアメリカの財政の崖の問題が出てきます。

 アメリカの上下院は上院が民主党、下院が共和党が過半数を取っており、少し前の日本と同じく、ねじれ国会の状況になっています。

 そのため、民主党オバマ政権が肝煎りで進める健康保険の加入義務化、いわゆる「オバマケア」に反発する共和党が下院で反対して、予算を通さない(アメリカでは債務の上限が決まっており、議会がそれを認めない)という構えを見せている訳です。

 小さな政府主義の共和党にすれば国民皆保険(日本のとは違いあくまでも民間保険の加入義務)は財政を圧迫し、国民の選択肢を奪う(銃の保持も自己防衛の手段として憲法で認められるお国柄ですので)という事で予算を通さない事で対抗し、自分達の他の要求を通すという動きがあります。

 とはいえ、予算が通らず政府機関の縮小などが発生すれば、国民生活に大きな混乱が生じますので、いくらなんでもそこまではしないだろうと毎年言われ、これまでは何とか予算成立してきました。


 しかしながら、今回はオバマがTPPについて話し合うAPECに出席できないという状況になっており、予算が通らなければアメリカ国債はどうなるのかという話になってきます。

 アメリカドルへの信認が弱まれば、当然、相対的に円高になるわけです。


 もし、財政の崖が回避できなければ、超円高になります。
 多分、財政の崖を回避しないという選択肢は無いと思うのですが、それでも、アメリカの財政の崖で円高が進み、来年4月の消費税増税までに円高が改善されなければ、消費税増税が二番底になって簡単な事では這い上がれないという可能性が出てきます。


 今年の初め、財政の崖が回避されたという事と、アベノミクスの金融緩和への期待の高まりというタイミングが重なって、一気に105円までの円安に動きました。
今回はその逆で、悪い方向にタイミングが重なってしまう可能性があります。


 更に、インドを始めとした新興国は今非常に通貨安になっており、アジア通貨危機の再燃も懸念されています。中国経済崩壊いわゆるチャイナショックも噂されています。

 これらは円高要因かはわかりませんが、日本経済への悪影響は間違いないものです。

 

 消費増税をやめる以外に円高デフレを回避するには更なる金融緩和と財政出動ですが、それは今の日本政府では到底できそうにないと予想します。