共同通信による主要111社に対してのアンケートでは、景気回復基調で消費増税を67%の企業が容認しているという不気味な結果が出ました。
 
 財政の健全化を進めるため(?)に全体の67%に当たる74社が容認する考えを示した一方で、安倍首相が企業に求める賃上げについては、前年比で「横ばい」とする回答が最も多く、経費の増加んいつながる賃上げには慎重姿勢だという事です。

 消費税に関する意見の内訳を見ますと、「経済状況にかかわらず引き上げるべきだ」が12社(10.8%)、「経済状況の改善が続けば引き上げるべきだ」が35社(31.5%)、「現状の経済状況で引き上げるべきだ」が27社、「経済状況に関わらず引き上げるべきではない」が2社(1.8%)、「その他」が15社(13.5%)、「無回答」が20社(18%)となっております。


 新聞でとりあげられていた意見としては「日本の財政への信認を維持するために必要」という富士通、住友化学などの意見がある一方で、「賃金の上昇が確認できるまでは拙速に上げるべきではない」というセブン&アイの意見がありました。

 はこの意見の相違に輸出企業と内需企業の違いがあると考えます。

 その他には「増税の前にやるべき事がある」富士フィルムなど、意見自体は国民の世論調査と変わらず。比率が違うだけという感じです。
 
 一方で、賃上げについては、「上げる」は29社で、そのうち賃上げ方法は21社が「一時金などで」と答えています。「下げる」は11社となっています。「横ばい」という数字は新聞には載っていませんでしたが、一番多いという事です。
 
 他には、現状の景気認識を「拡大」「緩やかに拡大」としたのは100社に達した。その要因は「個人消費の回復」とうのが最多で、次に「米国経済の改善」、「増税の駆け込み需要」が続きます。


 さて、今回、新聞一面の見出しで「消費増税 企業の67%容認」とデカデカと載っておりましが、私の思うところを書いていきたいと思います。といっても、私のブログは記事を書いてない日でも毎日150人以上の皆様が見ていただいており、皆様には私の意見は既におわかりと思います。


 議論の前提として、これは何度も書いていますが、新聞を含めた増税容認派が言う「財政健全化のための増税」という前提が間違っており、消費税増税による税収減が政府財政をより不健全な状況に陥れる可能性が高いという事を指摘しておきます。


 そして、今回のアンケート対象は主要111社という事で、日本の会社数で言えば99%、従業員数から言えば89%を占める中小企業の意向は反映されていないという事です。
 しかも、体力のある大企業でも賃上げにはまだ慎重だという経済情勢だという認識をしっかりと持つべきです。


 誤解の無いように言っておきますが、例え一時金でも、賃金が上がるというのは今まで見られ無かった事で非常に良い事です。アベノミクスを批判する人は、「雇用が増えたのは非正規だけだ」とか言ってすぐに結果が出ないのを批判していますが、少しずつの前進でも無ければ本格的な景気回復など有り得ないという事を理解すべきだと思います。
 批判するなら建設的な対案を示すべき。示せないので国民の支持を得られないのです。


 話を戻します。企業が社員の給与、雇用を増やすのは、経済のパイを拡大する事であり、所得が増えた分の個人消費の拡大は回りまわって自分の会社の売上を増やしますので、賃上げは必要です。 
 今は内需を拡大すべき時です。企業が景気拡大の要因として、個人消費の増加を一番の要因としていますが、その認識が正しいのは先日の記事でふれたデータのとおりです
 安倍政権が狙う企業の設備投資の増加にはまだまだ繋がっていません。
 そんな中で、消費税増税で個人消費が減れば、逆に負のスパイラルによって企業の売上を減らす事になるでしょう。
 
 さて、アンケートで「経済状況に関わらず引き上げるべきだ」と言う10.8%の企業は輸出企業ではないかと推測します。共同通信にはこの意見を出した企業の業種も発表していただきたかったと思います。

 輸出企業にとっては、消費税が上がっても「輸出戻し税」で輸出商品の部品にかかった消費税が戻り、実質無税ですので別に増税の影響はありません


 別に、輸出戻し税という制度自体が悪いとは言いません。国内販売時限定で課税される税金ですので、国内で部品を販売した分については消費税がかかり、海外への輸出分についてはかからないという制度です。これが無ければ輸出企業は日本で販売しないのに消費税を取られ、販売国でも消費税を取られと、一方的な損になります。

 しかしながら、大手輸出企業が国内の下請けの部品メーカーにきちんと消費税分を払っているか、下請けの部品メーカーが消費税を価格に転嫁できているかという部分は非常に重要です。


 実際には、大手輸出企業が消費税分のコストカットを下請けに押し付け、最終的に消費税が戻ってくるのにコストカットを果たす「益税」になっているという批判があり、消費税のインボイス制度の導入を求める声がある事を指摘しておきます。


 今日の記事の意図は私は新聞記者じゃないのでわかりませんが、今日の記事によって、日本経済全体(国民経済)が消費税増税を容認したとはとても言えないと思います。
 「今は増税の時期じゃない」というのが過半数となっている国民の意見や、まだ調査していない中小企業の意見を推察すると、むしろ反対の方が多いのではないかと推測します。
 万が一、マスコミが消費税増税の印象操作をしようと意図しているなら、国民はそれに反対すべきだと思います。