参議院選挙も終わりまして、最近、消費増税についてのニュースが多く見られるようになりましたので、今日は消費増税について取り上げます。

 このブログでも今まで度々取り上げておりますが、私はデフレ脱却がまだまだの状態で、消費増税は実施すべきではない、時期尚早だという意見です。


 なぜならば、1997年に消費税増税を実施して、翌98年には全体の税収が増えるどころか、減収になってしまったという過去の教訓があるからです。

 実際に、下のグラフをご覧ください。


三木市議会議員 泉 雄太のブログ-国税推移


 グラフを見れば、97年の消費税増税増税以降、一度も97年の税収を回復していない事は一目瞭然であります。


 消費税増税の推進派は「毎年1兆円増える社会保障費の補填のためには安定財源である消費増税しかない」などと言いますが、社会保障費は税金から支払われる以上、全体の税収が減少すれば、社会保障の安定にはむしろ逆効果になります

 「将来世代のためにも、現在の世代が責任を負うべき」という意見がありますが、消費増税をした方が将来世代に対する負担増になる可能性が高いです。

 なぜなら、前回の消費増税の翌98年から、税収が減っただけでなく、現在に続く15年間のデフレの泥沼に陥ってしまったからです

 これも過去の教訓どおりに消費税増税で景気を悪化させてしまえば、これまでのアベノミクスの効果は吹っ飛び、最早、日本は二度とデフレを脱却できなくなる可能性があります。

 デフレの解消なしに、賃金上昇、雇用の拡大はありえません。将来世代のためにと言いつつ、将来になって働かなければいけない若者の雇用が無いという事では本末転倒です。

 

 消費税増税推進派の「増税回避は無責任」という意見こそ無責任ではないかと私は思います。


 前回の増税と同じ事は2度続かないとどうして言い切れるのでしょうか?

 消費増税推進派は税率を上げても全体の税収が減ることは無いと、きちんと国民に説明すべきだと思います。多分、難しいと思いますが。

 

 この税収の推移は財務省のHPを参照して作成しましたが、何も難しくない、誰でも調べられるデータです。しかし、データを自分で調べようと思う人はそんなに多くないでしょう。


 国民に代わってそういうデータをきちんと調べ、「消費増税で全体の税収が減れば逆効果ではないか」懸念を表明する事こそ、「社会の公器」たるマスコミの仕事ではないかと思うのですが、マスコミはこれまできちんと議論してきたのでしょうか?

 「増税回避こそ無責任」という立場にマスコミは立っていないでしょうか?

 これまでのマスコミの論調は、「将来のためにはやむをえないが、増税の前には身を切る改革が必要」という意見ばかりだったと思います。


 幸いな事に、安倍総理、菅官房長官は「増税が税収増につながらなければ意味が無い」というコメントを出して、慎重な姿勢を示しています。

 こういう発言を受けて、最近になって初めて、前回の増税でむしろ税収が減ったという事がマスコミに出てきたのではないでしょうか?それでもごく一部でしか見かけませんが。

 このまま有耶無耶になりそうで非常に恐ろしいと思います。マスコミはきちんと責任を果たしていただきたいと思います。


 参議院選挙では自公が圧勝し、ねじれが解消されました。数の力で言えば、与党だけで議決できるようになりました。

 以前も書いたかもしれませんが、参院選挙後こそ重要です。消費税、TPPなど、国民の意見を二分する政策が出る中、野党にだけ反対を働きかけてもあまり意味がありません。

 これからは、我々国民が直接政府与党に対して意見をあげていかなければならない時代になったのだと思います。


<補足:主要税目の推移>
三木市議会議員 泉 雄太のブログ-主要税推移

 なぜ、全体の税収が減ったかと言えば、消費税の増収以上に、景気悪化で所得税と法人税が減収分が大きかったからです。消費税は増税後10億円で横ばいですが、法人税、所得税が下がっています。これはそれぞれ減税したという影響もありますが、一番の要因はデフレだと思います。

 消費は一定なのに、税収が減るという事は、やはり、企業投資が減少しているからだと思います。

 企業投資を復活させるには、一律の法人税減税ではなく、日本国内で設備投資した企業に設備投資減税をする方がが良いと考えます。

 設備投資だけではなく、雇用減税も拡大すべきだと思います。


<余談:第三の矢> 

 あとは別件ですが、マスコミに言いたいのは、「第三の矢の成長戦略こそ改革の本丸」などとよく言いますが、根拠も無く国民を誘導するのはやめていただきたいと思います。

 規制緩和による競争激化でタクシー業界などの所得が非常に下がりました。デフレ脱却で所得を増やすインフレ政策をしている時に、競争を激化させる規制緩和がなぜ成長の要になるのか私には理解できません。