7月2日朝から、4日の夜にかけて行政視察に行ってまいりました。

 視察内容は1日目が佐賀県伊万里市の「ファイナンシャルプランナーによる税金滞納者への納税相談」

 と「いじめなし都市宣言」

 2日目が福岡県須恵町の「幼保連携型認定こども園」及び、熊本県菊池市の公共交通政策の取組

 3日目が熊本県八代市の住民自治の取組でありました。


 1日目の伊万里市については、税金滞納者の相談に年間110万円程度で委託しているファイナンシャルプランナー(以下FP)が乗る事で800万円程度の回収ができたという事で、我々の会派が希望していた視察先でもありました。

 三木市では債権管理課が立ち上がり、給与の差し押さえなど、滞納徴収を強化しておりますが、滞納額が大幅に改善したというような事は今の所ありません。厳しく徴収をかけるだけでなく、滞納者の生活を立て直し、納税できるような仕組みを作るべきではないかという考えから、視察先に挙げたものです。


 まず、伊万里市では元々、税金滞納者の「過払い金請求」による納税の支援をしていたという事です。

 税金滞納者の相談に乗っていると、消費者金融から借金をしているケースが多く、返って来た過払い金から滞納した税金を払ってもらうべく、弁護士や司法書士につなぐという事をやってきたという事です。

 過払い金請求の対応は九州ではかなり広がっているというお話でした。

 三木市の債権管理課ではまだ「過払い金請求」の活用という部分ができていないという事です、この時点で非常に勉強になりました。

 今後、三木市でも税金滞納の過払い金請求の活用を政策提言していきたいと思います。

 

 しかしながら、消費者金融にグレーゾーン金利で返済した事実がありながらも、過払い金請求をしたがらないという税金滞納者がいるという問題が生じたという事です。


 単純に考えれば、弁護士に成功報酬は払わないといけないかも知れないが、TVで宣伝してるように「払いすぎた利息が返ってくる」なら何ら問題無いんじゃないかと思います。


 しかしながら、「事業の運転資金として複数の消費者金融から融資を受けざるを得ず、過払い金請求を行うとブラックリストに載ってしまい、事業が継続できない」という方がいたという事です。

 消費者金融業者は債務者の信用情報を信用調査会社から入手し、消費者金融各社で共通認識となる物のようです。そして、過払い金請求した場合も、その人が過払い金請求をしたという記録が残ります。

 信用情報に過払い金請求をしたという記録が残れば、どの会社もお金を貸してくれなくなるという問題があるのです。


 この問題を伊万里市から聞いた、たまたま視察に来ていたあるFPの方が、「この問題解決は簡単にできる」とおっしゃったというのが、伊万里市のFP活用の始まりであったという事です。

 

 上記の問題をどのように解決するかというと、まずは、複数にまたがる借金を返済するため、一社だけから融資を受け、それ以外の会社の借金を返済する。 複数の会社に対する借金を返済してから、その会社に過払い金を請求するという物です。

 銀行で信用情報の特質を知っていた、行政職員には無い、FPならではのノウハウを教えてもらったという事でありました。

 伊万里市はそのアドバイスをきっかけにFPによる滞納相談を導入し、今もそのFPの方に委託を行っており、九州ではFPの導入が広まっているそうです。

 余談ですが、そのFPの方はそれをきっかけに今では全国で仕事をしているようです。 


 FPの活用ついても、上記の過払い金請求と合わせて、三木市で活用するように政策提言をしたいと思います。


 2日目の須恵町の幼保連携型認定こども園は珍しい公立の九州第一号の認定子ども園です。

 元々、公立幼稚園3園、公立保育園3園、民間保育園1園という施設数で、幼稚園は定員割れの一方で、保育園は待機児童が30~40名発生と幼保連携が課題となっていました。

 そこで、議会と市の協力で公立での幼保連携ができたという事です。

 須恵町の幼稚園・保育園の今の職員は殆ど幼稚園教諭と保育士資格の両方の免許を持っているため、資格面では問題は無いという事でありました。三木市も殆どの人が両方の資格を持っていると聞いております。

 

 4歳時以上はお昼ごはんまでは旧幼稚園と旧保育園の子は一緒に遊び、勉強します。

 その後、旧保育園児はお昼寝し6時まで(延長で7時)こども園に居る。幼稚園児は2時、3時まで勉強するという事です。0~3歳児は旧の保育園施設で保育するというものです。


 教育面では若干保護者の不安の声が上がっていたものの、一体化して見ると子どもが一緒に仲良くやっているという事です。

 財政面では公立どうしの一体化のため、削減効果はあまり無かったという事です。

 以前もお知らせしたとおり、民間保育所に対する補助は手厚く、施設建設にも、運営にも市の負担は1/4で済む(県が1/2負担)ところが、公立なら(地方交付税の参入分を除き)全額市単独の負担になります。

 各委員さんから公立じゃなくて民間での幼保連携は考えなかったのかという意見も出ましたが、地理的な物もあり、元々民間保育園が1園しかなくてできなかったという話でした。


 現在、三木市では、唯一、私立のりんでん幼稚園が「幼稚園型」で認定こども園となりましたが、幼保一体化はまだまだこれからです。

今後、三木市は幼保連携型の認定子ども園を目指す事としておりますが、財政負担の軽減も図れるような幼保一体化をしていかなければいけないと思います。

 

 菊池市では、乗り合いタクシーと市街地循環バスの取組を学びました。

 元々、農村部から市街地への交通はバスで運行しておりましたが、バスは1便あたり2人を切る路線が出てくるなど、菊池市の赤字補填の額も年々増加していたという事です。

 バス事業者からも撤退したいという声も出てる中で、交通手段確保のためにスクールバスの乗り合いなども検討しましたが、「スクールバスが不便になると」反対の声があり出来ませんでした。

 そんな中で、行政が発想の転換を行って、農村部と市街地をつなぐ交通手段は乗り合いタクシーにして、市街地の交通は巡回バスで行うという交通網の改編を行いました。

 乗り合いタクシーの運行は廃止したバス路線で行うという事で、業者間の競合が起きないように注意したという事です。

 既存のバス路線に対する新規参入は既存のバス事業者の許可が必要という規制があるためです。

 乗合タクシーの事業者は道路運送法第4条の乗合旅客運送事業者の許可を取り運行が始まりました。


 当初は、市民の方から反対の声が若干あったもの、バスよりもタクシーの方が値段的には高くなりますが、利便性からバスよりも輸送量は増えたという事です。

乗合タクシーは1台あたり2人以上の利用があります。

 1人あたりの利用料金は市街地までの距離をエリア別でこの地域は200円、この地域は400円というふうに決まっています。

 この価格設定は乗り合いタクシーに4人以上乗車した場合には行政の負担なしとなるように決められ、タクシー業者と契約を結んだようです。

 その結果、市の財政負担は2600万円のバスの赤字補填から、タクシー事業者への補助900万円程度まで抑えることができました。

 市街地巡回バス「べんりカー」は市街地の中心施設と各医療施設から乗る事ができます。運賃は100円でどこでも行けるというべんりなバスです。

 農村部のバスから乗合タクシーへの移行や、コミュニティーバスの巡回バス化という事は、今後の三木市の公共交通を考える際に、非常に参考になりました。


 八代市では、住民自治の取組を学びました。

 八代市では三木市のまちづくり協議会と同じような地域協議会を導入しています。

 地域協議会はこれまでの各種団体に対する補助をまとめ、自治会長や各団体の長などで構成する団体です。

 ただし、自治会や老人クラブに対する補助はそのままという事です。


 三木市と違う部分では、地域協議会は敬老会、資源ごみ回収事業などを必須で行ってもらい、それに対して地域交付金を出すという仕組みです。

 地域協議会を立ち上げた場合は、地域交付金の他に、26年度まで年間30万円の運営費助成と、3年間150万円の備品等購入助成があり、現在、市内全域での導入に向けて取組んでいます。


 行革の目的もありますが、平成32年までは今までの補助額と同程度の額をキープするので、その間に、祭りの収益金を活用するなど、自立していただける組織になってほしいという思惑のようです。

 今後は公民館の運営を任す事ができるような組織にしていけたらという事でした。

 福岡県の宗像市は地域が公民館を運営しており、それを参考にしているという事で、私も宗像市の取組を勉強したいと思いました。


 今回の視察も非常に勉強になりました。学んだ事を可能な物は三木市政にも反映していきたいと思います。