昨日お知らせしました海外療養費の問題 ですが、市役所で説明を聞き、また自分で調べた内容をお知らせします。

 まずは海外療養費とは何ぞやという事からご説明します。


 海外療養費とは国民健康保険に加入している人が、海外に渡航した際に、けがや病気で現地の医療機関で治療を受けたときにかかった医療費を負担してくれる制度です。

 例えば、日本人が海外に出張や旅行をした際に、海外の病院にかかった場合、当然、保険適用がありませんので、日本で言うところの10割負担となります。


 これに対して、日本で国民健康保険を払っている人に対しては、海外での治療を受けた場合に発生する高い治療費負担から救済してあげようという事で、2001年より海外療養費制度が開始されました。 

 これは海外で受けた治療について、日本国内で保険診療を受けた場合と同じ点数で計算し、7割を国民健康保険から支払うというものです。


 患者さんは海外療養費の申請書に症状、手術・投薬などの処置、治療実費などの書いて、自治体に提出します。

 自治体は提出された申請書類を専門機関である国保連合会に回して、医療点数などについては国保連合会が審査するため、自治体が直接審査するわけではありません。審査でOKが出た分、自治体が国保の中で支払うことになります。


 しかしながら、自治体では健康保険を未納の場合、チェックを厳格化するなどの対処をしているため、その段階である程度は不正防止の効果があると思われます。今回のローラさんの父親の件もこういう所で発覚したのではないかと思いますが、これはあくまである程度という事だと思います。


 次に、国保の海外療養費が何故外国人に対しても支払われるのかという事についてご説明します。

 上でも書いたとおり、海外療養費は国民健康保険に加入している人に対するサービスです。

 そして、国民健康保険の要件は自治体に住所がある事です。そして、外国人の住所の取得要件は3ヶ月を超える在留資格(中長期在留者)を持っている事です。

 要約すると、3ヶ月超の在留資格を持っており、住民票を取得した外国人は国保に加入でき、海外療養費のサービスも受ける事ができます。

 ですので、外国人が帰国するなどで、転出した場合(三木市なら三木市民じゃなくなった場合)には、その時点で三木市の国保から外れる事になります。

 外国人の国保の加入については、平成4年から、日本に1年以上滞在する外国人は国民健康保険に加入できるようになりましたが、昨年7月の通達による改正で、外国人は3ヶ月以上の滞在で国保加入を義務付けられるようになり、国保の加入要件が緩和されました。

 

 次に、海外療養費に関連する外国人の在留制度についてご説明します。

 外国人の在留制度は昨年7月の外国人登録制度の廃止に関連して大きく変化しております。


 まず、在留資格を持つ外国人が出国する際に、「再入国許可」というものがあります。これは、一時的な出国に対して、再入国の度に一からビザを取得する事は時間と手間が非常にかかるという事で、再入国許可を取得すればそれらを不用にするという物です。制度自体は1951年からありますが、昨年7月の改正で再入国許可の上限が「3年」から「5年」に引き上げられました。(併せて外国人の在留資格の上限も3年から5年に延長)


 つまり、この再入国許可を取得して、市に転出届けを出さずに出国した場合は、市としては一時的な帰国ですので、住民票はそのまま残さざるを得ません。そして、その上限期間は5年間であるという事です。

 再入国許可を取らずに、転出届けを出さずに出国した場合は、いずれは「居住の実態が無い」として、住民票から削除される事になりますが、入管から出国した旨が通知されるまで1年程かかる(昨年7月のみなし再入国制度の創設等も影響していると思います)ため、最低でもその間のタイムラグが発生します。

 国保については、ずっと未納なら、資格喪失となりますが、資格喪失までにはタイムラグがあります。また、一部でも払っている限りは基本的に加入状態が継続されます。

 

 以上のようなタイムラグなどの問題があって、国保の海外療養費は結果的に出しっ放しになるというケースが想定される制度となっています。国保の日本人と外国人の取り扱いが同じである以上、そういうものだという話なのかも知れません

 基本的に悪用しようとすれば不正は外国人だけではなく、日本人が出張した時にも起こりうるという事で、問題の本質は海外療養費のチェックが難しい点にあるのではないかとも思います。

 しかしながら、外国人が語学面などで、日本人よりも本国での不正がしやすいという違いがあります。

 また、日本人と同じ扱いとするならば、外国人は第三国での出張旅行時の治療費はまだ良いですが、本国に戻った際には本国の健康保険制度を利用すべきではないかとも思います。


 いずれにせよ、海外療養費の申請に対しては、申請者について国保がきちんと支払われているか等の点でしっかりと確認をしなければいけないと思います。


 さて、三木市での実情ですが、国保の海外療養費の他に、介護保険、児童手当、児童扶養手当についても併せて調べてまいりましたのでお知らせします。

 昨日お知らせしたとおり、いずれも1年以上の在留資格が必要だったものが、3ヶ月超に要件が緩和されました。また、いずれも国保と同じく、外国籍であっても住所要件があれば、当該市から支給されます

 

 海外療養費については、三木市では昨年11人24件の申請がありましたが、いずれも日本人名だったという事です。


 介護保険については、対象の介護サービス施設が国内の物限定ですので、海外で受けた介護サービスを介護保険で負担し給付するような事はありません。

 

 児童扶養手当(母子家庭などに対する手当)については、国内のみ支給され、国外にいる場合は対象外です。


 児童手当(前のこども手当)については、

 1.両親が国外におり、子どもが国内に残っている場合、祖父母等が保護者として指定されている場合は、指定された方に支給されます。

 2.留学などで子どもが国外におり、親が国内にいる場合も、事実確認の申立及び証明により支給されます。

 3.親子ともに国外の場合は対象外となります。

 三木市では上記のような例で児童手当を支給しているケースはありません。


 以上、詳細を説明させていただきました。