(ごく一部の人の意見ですが)いわゆるアベノミクスは株のバブルであって実体経済には関係無いという意見がありましたが、いよいよ実体経済が上向いて来たようです。

 内閣府の地域経済動向が発表されましたが、全国を11地域に分けた全ての地域で2期連続の上方修正となりました。
 私の地元の近畿地方では「下げ止まりつつある」から「緩やかに持ち直しつつある」に改善されており、他地域も同様となっています。

 消費については、消費総合指数の動きを見ると、各地域とも上昇傾向にあり、沖縄で増加、東北で緩やかに増加、北関東・九州で底堅く推移したということです。
 大型小売店の販売額は3月は全地域で増加、百貨店の商品別売上では美術・宝飾・貴金属は大幅増。 自動車登録台数は4月は全地域で増加という様子です。
 
 雇用情勢については、全地域で有効求人倍率が上昇新規求人数も全地域で増加して、沖縄・東海・四国・北関東・中国地方では減少から増加に転じました。
 業種別では卸売・小売業、医療・福祉分野が全地域で増加したほか、建設業では南関東以外で増加。サービス業は北関東と東北以外で増加しました。
  
 日本全体でどんどん実体経済の指標が良くなっている事がわかります。

 そして、もう一点、今朝の朝刊では、東証1部上場企業の株価時価総額の上位100社の設備投資が7.8%増加したニュースが出ておりました。
 ただし、全ての企業が設備投資を増やしている訳では無く、当然企業によって対応は違っています。
 中でも、自動車各社が大幅に設備投資を増やしています
 (トヨタ 8527億⇒9100億、ホンダ 5936億⇒7000億、マツダ 772億⇒1300億)
 
 自動車と並んで輸出の2本柱であった電機業界は対応が分かれておりまして、苦境のパナソニックは3109億⇒2050億と3割減となった一方で、日立7425億⇒8420億、東芝2396億⇒3300億と増加させております。
 鉄鋼業界は新日鉄が4200億⇒3000億と投資を抑制させています。
 
 自動車各社の設備投資は海外の工場投資が中心という事で、これが日本国内の投資であればより良い事だと思いますが、アメリカのような国内回帰の動きというのはまだ本格的な景気回復を待たなければならないという事だと思います。

 業種・会社によって違いがあるとはいえ、全体でプラスになるという事は非常に良いことです。
 長引くデフレによって、家計もそうですが、企業も非常に投資を抑制してきました。
 デフレで物の値段が下がり続ける中で、企業が設備投資で生産を増やしたところで儲かりません。
 儲からない環境では企業が設備投資を抑え、お金を貯めこむことは非常に合理的です。
 一つ一つの企業がそのような行動を取ることで、マクロ経済全体がしぼむという、いわゆる「合成の誤謬」という全体にとって不都合な結果になるわけです。
 某政党のように、内部留保を目の敵にして、それを何とかしろと言ったところでどうしようも無いし、意味はありません。
 まずは景気を回復させて、「設備投資をしたら更に儲かる」というマインドを作っていく以外に方法はありません。
 そして、マインドを変えるのがどれ程大変かという事は過去15年の日本経済を見ればわかる事です。

 今回のニュースは上位企業についてですが、全体としてマインドが変わってきたと言えるのではないでしょうか。
 今後、中堅企業、中小企業までこの流れが波及すれば完全に景気は回復します。
 政府には、この際、消費税増税は回避してこの流れに水を差さないようにしていただきたいと思います。