今日のまちづくり部の所管事項に関する総務文教常任委員会では、直通バスの話題が出ました。

 広報みき5月号 で直通バスについての内容が掲載されており、それを基に各議員さんから質問が出ておりました。ただし、広報に載ってるような内容は3月議会で議論したはずなんですが。


 失礼ながら質問している議員さんも内容について齟齬がある場面も多々見うけられました。

よって、市民の皆様にはまだまだ内容が浸透してないのかなと思いましたので、広報みき5月号の特集記事について内容を補足しつつ、このブログでもお知らせしようと思います。

 

1.バス1台あたりの年間経費

 ・人件費、燃料費、修理費など(※1) 820万円

 ・減価償却費(※2) 320万円 

  計1,140万円


 (※1)この額はバスの運賃収入を差し引きした支出額だと思います。


 (※2)減価償却費とは何年も使う物を最初の1年だけで計上すると、最初の1年だけが大赤字になって、2年目以降は黒字となります。しかし、それでは経営の実態に合いません。よって、使う年数によって費用を配分するというものです。バスの場合は償却期間は5年となりますので、バス代の購入代金としては1台(320万×5年)の1600万円と考えて良いでしょう。

 償却が終わったバスで運行を続ければ、6年目からは減価償却費が発生しないため、1台あたりの年間経費は820万円となります。


2.必要台数

 市内全域を9ルートで1時間ごとに運行(1日8便)する計画(案)として、22台が必要

 ・9ルートの内、距離が長いところは1ルート3台、それ以外は1ルート2台として、20台。

 (所要時間が35分程度のルートが多いですが、行って帰ってくると1時間で収まらないため、1ルートにつき2台が必要となる。最も遠いルートでは所要時間が53分となり3台が必要となる。)

 ・予備車両2台

 仮に、バスを5台減らした場合は、1日8便⇒5便になるということです。


3.バス全体の経費

 1.の年間経費(1140万円)×2.の台数(22台)で2.5億円の財政負担が必要

 尚、バスの利用者数が想定を上回る場合、運賃収入の増加によって、バス1台あたりの年間経費が減少しますので、財政負担は減少します。


4.福祉目的としての直通バス

 ここまで、バスの経費面を見てきましたが、1人1回150円と低料金のバスです。いくら満員になろうが、直通バスの路線自体が黒字になる事はありえません。

 黒字になるなら民間が自発的にやります。基本的には、直通バスは市というパブリックセクターが実施する、病院へのアクセス手段が無い方のための福祉目的のバスです。

 10年後には、三木市の高齢化率が36.0%になります。(25年は27.3%)10年後を見据えて、今から備えておくというものです。


 とはいえ、福祉目的なら税金をいくら使っても良いのかという話に当然なります。

 福祉目的で無尽蔵にお金を使うという話ではなく、直通バスは、文字通り病院以外は降車できない直通バスですので、統合病院と病院を運営する三木市への経営改善に寄与します


 続いて、統合病院、三木市への経営改善という部分について説明していきます。


5.統合病院の三木市民の利用者見込み

 ・1日あたりの外来患者1000人(※1)のうち三木市民 600人

 ・1日あたりの見舞い客数 100人

 計 700人


 (※1)1日あたりの外来患者1000人は統合病院企業団の目標数です。今日の委員会で当局は実現可能な数字かという質問に対して、過去に医師が多い時は三木市民病院でも1日900人以上あった事もあり、統合病院では医師確保も見込むので、十分可能という答弁がありました。


6.各地区の直通バス利用者見込み

 ①:5.の統合病院の1日の三木市民の利用者700人を、各地区の65歳以上(直通バスのメインターゲット)の人口割合で按分して、統合病院の地域別利用者を求める(下図A)

 ②:各地域の交通実態調査によって、直通バスを利用したいと答えた方の比率を設定する(下図B)

 ③:①の地区毎の利用者×②の地区毎の利用率で地区毎の直通バス利用者が求められる。

 ④:③の地区毎の利用者を集計すると1日あたりの直通バスの利用者は252人となる。


三木市議会議員 泉 雄太のブログ-各地区利用者


7.バス利用者による統合病院の収益改善額

 ①:1日あたり252人のうち、7分の6は外来患者のため、外来患者は216人。見舞い患者は36人となる。(下図A)

 ②:単価(下図B)については、それぞれ、現行の三木市民病院の平均単価から。皆様は医療保険による3割負担で払ってらっしゃるので、高いと違和感があるかも知れませんが、病院は10割を受け取ってますのでこの程度です。

 ③:日数(下図C)については、外来の部分については、直通バスの年間営業日245日です。

 入院については、現行の三木市民病院で、外来患者総数のうちの年間2割が入院するという事から365日とする。

 ④:①×②×③をかけると、直通バス利用による病院の収入が14.7億円となる。

 医業売上の利益率は6割なので、14.7億×0.6で、直通バス利用者の病院の経営改善額は9億円となる。


三木市議会議員 泉 雄太のブログ-病院収益予測


8.三木市への財政負担軽減額

 7.でバス利用による病院の経営改善額が9億円となったが、統合病院は三木・小野で運営する。

 三木・小野のランニングコストの財政負担割合は6:4なので、病院の経営改善額のうちの三木市の財政負担軽減額は9億×0.6で、5.4億円となる。

 ちなみに、現状の三木市民病院への負担は毎年10億円。

 

 この5.4億円が直通バスを設置する事による三木市の財政負担軽減効果であるが、患者さんのうちでは、直通バスが便利だから他の病院を利用せずに来た人もいれば、元々、バスが無くても他の交通手段を使ってでも来る人の2種類があると考えられる。


 仮に、直通バスの利用想定者のうち、半数が直通バスが無ければ統合病院を利用しないと考えると、5.4億円×0.5で、2.7億円が純粋な直通バスによる患者増加、経営改善額となる。


 以上が、病院、三木市の経営改善効果となります。


 3.のバスの年間経費2.5億円と、8.三木市の財政負担の軽減額2.7億円を比較すると、財政負担の軽減額の方が上回ることから、直通バスは単なる赤字覚悟の福祉目的バスではなく、統合病院、三木市の財政負担の軽減に寄与すると言えると思います。

 

 以上、長くなりましたが、直通バスはこういう考えで市が進めています。