今日は表記のニュースがありました。

もちろん、TPPには関税撤廃のみの話し合いではありませんが、現状の整理をしたいと思い、TPP参加国がどのような国か、貿易の面から見て行きたいと思います。

 当然、貿易収支が黒字なら、GDPの増加(=経済成長)に寄与します(※1)ので、貿易収支で黒字の国との関税撤廃は日本の国益につながると言えるかもしれません。

(※1)GDP=家計の消費+企業の投資+政府の支出+輸出ー輸入


<TPP参加11カ国の2012年の対日貿易収支>

三木市議会議員 泉 雄太のブログ-貿易収支
(単位:1000ドル 実際は1ドル80円台でしたが、単純化のため1ドル100円換算で単位:10万円)


<TPP参加11カ国の人口及び、対日輸出入品目>
三木市議会議員 泉 雄太のブログ-人口

(輸出入の品目については2011年の構成比トップの物を抜粋 出典:ジェトロ貿易投資報告(2012年版))


 調べながら、小学校の社会の授業を思い出しました(笑)
 TPP参加国11カ国の中で、貿易収支が黒字の国はシンガポール、アメリカ、メキシコの3カ国。
最大の黒字国はアメリカで、6兆5163億円の貿易黒字。次にシンガポールの1兆4571億円と続きます。

 逆に、最大の貿易赤字国はオーストラリアで3兆8167億円の貿易赤字。次に、マレーシアの1兆6215億円と続きます。
 TPPの交渉参加の目的はアジアの成長を取り込むという事でした。

 これは対外直接投資を増やすための環境整備という事も含んだ表現なのでしょうが、こと輸出入に限定して上記を見てみると、TPP参加国のうちのアジアの国で、日本が貿易黒字の国はシンガポールだけという結果でした。
TPP参加国の貿易収支は8730億円の黒字となっています。


 やはり、貿易赤字の原因はエネルギーや鉱物などの原材料の輸入超過にあり、貿易黒字の原因は自動車やその他機械製品の輸出超過にあります。

 ずばり言うと、TPP参加国のうち、関税が無くなって輸出を増やせる見込みのある国はアメリカとシンガポールぐらいしか無いという状況です。

 しかしながら、対アメリカでは、主要な輸出品である自動車の関税撤廃は数年間見送るというのが、交渉の前提になっているようですので、その効果も薄まる事になるでしょう。


 また、アメリカからの主要な輸入産品は食料品という事で、TPPで農産物の関税が撤廃されれば、どうなる事かと非常に心配です。
(今後、TPP参加を条件ににアメリカからの安価なエネルギーであるシェールガスの輸入が入ってくるという日本にとっての利益もあると言われています。)


 次に、そもそもの話として、TPPの参加国は日本の輸出相手国としてどの程度のものかを見て行きます。


<2012年日本の輸出相手国トップ10>三木市議会議員 泉 雄太のブログ-輸出
(※1) 中国からの輸入品のその他の内訳は衣類が14.2%と最も大きくなっている


 日本の輸出相手国上位10カ国を見るとトップ10だけで7割ものシェアを占めていることがわかります。上位10カ国の合計の貿易収支では、8兆3130億円の貿易黒字となっています。
上位10カ国の中でTPPに参加している国はアメリカ、シンガポール、オーストラリアの3カ国です。

 上位10カ国とTPP参加国の貿易収支と比較すると、韓国、台湾、香港、タイなどの貿易収支が黒字となる国が入っていない事で、貿易収支に対するプラスの影響が少なくなっています。


まとめると、今回のTPPの参加国については、韓国、台湾、香港、タイといった貿易黒字が見込めるアジア諸国が入っておらず、逆に、関税撤廃で日本が不利になる農業国が多いといえるでしょう。


 余談ですが、最後に日本の輸入相手国上位10カ国を見ます。


<輸入相手国上位10カ国>
三木市議会議員 泉 雄太のブログ-輸入

 ※カタールについては他国と同種の資料が無く、省略しましたが、天然ガスが非常に伸びているそうです。


 輸入上位10カ国の合計の貿易収支は14兆4746億円もの赤字となっています。

やはり、輸入の上位10カ国ではエネルギー輸入が非常に目立ちます。

これを見て、エネルギーの高騰が2年連続の貿易赤字の原因というのが実感できました。

円安で輸入が不利になる中で、安価なエネルギー供給に向けて、何とかしないといけないと思います。

メタンハイドレートや、日本海、東シナ海の油田など、外国の動向に価格が左右されない、安定した国産エネルギー開発も進めて欲しいと思います。