昨日、標記の件で、総務文教常任委員会の事前審査が開催されました。

今回、市が訴えの提起をした内容について説明したいと思います。
市立小学校の児童虐待情報漏洩問題で、神戸地裁が4月20日、漏洩に関与した校長(当時)と穂積豊彦三木市議の責任を認め、市に100万円の損害賠償を命じる判決を出しました。

 この事件は2007年に発生しました。三木市の市立小学校で、この学校に通う児童に虐待を受けた兆候があるのを学校関係者が気付き、学校側の通報で児童は保護されました。

 一方で虐待加害者の疑いのある父親は、穂積市議に相談しました。
穂積市議は校長と接触し、校長は「この学校の養護教諭が関与した」と話してしまいました。
 この情報は穂積市議から父親に伝えられ、父親は養護教諭への接触を強く要求しました。

 直接の接触こそなかったものの、恐怖感を感じた養護教諭は精神的に追い込まれ、体調を崩して休職に追い込まれました。休職中にも教育委員会事務局などに対して、父親から養護教諭の動向を問い合わせる電話がかかってきたという事です。教諭はその後自殺に追い込まれました。
 これに対し、遺族は2010年に三木市と穂積議員を相手に提訴し、今回、判決が出されたという事になります。
 
 判決では、校長及び穂積議員ともに、「職務行うにあたり、過失によって違法に養護教諭の人格的利益を侵害し、損害を与えた」と認めた一方で、原告側から「安全配慮義務違反」が主張されていた三木市としての対応については違反は認められませんでした。

 しかしながら、校長及び穂積議員の情報漏えいについて、三木市が国家賠償法1条1項に基づく責任を負う(国・公共団体が賠償責任を負う場合、公務員個人はその責任を負うものではないという解釈による)という事で、三木市に対して100万円の損害賠償義務を命じました。

 この判決に対して、三木市は控訴をせず、速やかに原告に対して損害賠償金を支払う事を決めました。一方で、三木市が賠償責任を負う原因者である校長及び穂積議員に対して、三木市は国家賠償法同条2項により求償権を行使するため、5月臨時議会に議案を提出するという事であります。

今回の訴えの提起についての議案は、三木市が訴訟を起こす事の是非を決めるものです。
市が訴訟を起こす場合、地方自治法により、議会の議決が必要とされております。

 現職議員を相手にした訴えの提起という事もあり、議案の議決まで議会以外では、軽々に自分の意見を述べるのは控えたいと思いますが、この非常にいたましい事件を教訓として、市議会議員としての立場とその責任を常に強く自覚しなければならないと思います。
遺族の方のお気持ちをお察しすると、ご心労いかばかりかと思うところであります。

<参考:国家賠償法>
第1条 国又は公共団体の公権力の行使に当たる公務員が、その職務を行うについて、故意又は過失によって違法に他人に損害を加えたときは、国又は公共団体が、これを賠償する責に任ずる。
2 前項の場合において、公務員に故意又は重大な過失があったときは、国又は公共団体は、その公務員に対して求償権を有する。