ティム・クック-アップルをさらなる高みへと押し上げた天才
(リーアンダー・ケイニ―著, 堤 沙織 翻訳 /SB Creative)
就任前の評判が高くなかった最高経営者の実力を知る!
もう少し早く読めばよかったと思います.
ティム・クックがアップルのCEOに就任したのは2011年8月,
その時の評価は決して高いものではなく,
『オペレーション畑のヤツ』と見下されていたようです.
アップルの成長神話もこれまでか,
2011年10月5日にスティーブ・ジョブスがこの世を去った直後は
そう囁かれていましたが,ティムはその前評判を大きく覆しました.
これはティムを知らない当時の評論家の戯言であり,
それから8年後の今,そんなことを言う人は皆無になっています.
これが会社経営の面白いところです.
評論家の評価なんて全く当たらないことを証明したわけです.
アップルは創造的企業の代名詞と言え,ジョブスの次を担うのは普通に考えると,
チーフデザイナーのジョナサン・アイブ,
ただ彼は経営には興味がなかったとあります(納得).
誰がジョブスの跡を継ぐべきなのか?
でもよく考えると,大きくなり過ぎたアップルの経営基盤は盤石になっており,
それはジョブスが存命中に確立されていたと思います.
経営と製品開発は別物であってもジョブスの遺志を受け継いだ人が
トップに立てば形になると言うことだったかもしれません.
とは言え,誰でも同じ結果だったとは思えません.
ジョブスの考えを企業として完成させたのがティムであったとすれば,
彼が関わったアップルの歴史は学ぶ価値は高いと言えます.
経営学からの視点は言うに及ばず,
アップルと言う企業をさらに深く知りたいと思う人には良書と言える1冊になります.