勝海舟の罠――氷川清話の呪縛、西郷会談の真実 | 都の西北 / 山梨 / 甲府 / 愛宕山からチトフナ(世田谷)に!

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2004年12月に山梨県に移住,15年を過ごした後に
2020年3月に世田谷に引っ越しました!

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勝海舟の罠――氷川清話の呪縛、西郷会談の真実
(水野 靖夫著 /毎日ワンズ)

歴史的解釈として,勝海舟はほら吹きだった(笑)!

教科書にも載っている有名な史実である 『江戸城無血開城』 は
西郷隆盛と勝海舟の 『江戸会談』 によるとあります.

 筆者はこれが全くのウソで,
  勝海舟のほら話だと言っています.

江戸城が無血開城されることは,その前に開催された
『駿府談判』 で既に決まっており,その調整を成し遂げたのは
名前が出てきにくいこともあり,知名度は低いのですが
山岡鉄舟の成果であるとのことです.

これを歴史的な資料や古文書等,周到な調査で説明しています.

歴史って,そんなものかな?
言ったもの勝ち,その最たる例が本書が取り上げる
江戸城の無血開城に関わる勝海舟の自慢話だったのかもしれませんね?

 書かれている内容自体は興味深いものでした.

歴史を振り返るに,何が正しかったかを理解することは難しく,
個人個人の解釈に基づく史事であれば直の事,
何が正しく,何が間違っていたかを簡単には整理できないと思っています.

徳川家康は江戸幕府を創設した歴史的偉人と言われていますが,
豊臣側から見ると謀反人,最後に勝ち残った方が良いように
歴史を伝えているだけのように感じています.

武田信玄は山梨県では英雄であり,悪く言う人は山梨県内にはいません.
ところが長野県に行けば侵略者,英雄は上杉謙信です.
こんな例示から考えてみても,歴史なんて伝える人,
聞く人の都合のいいようになっているだけだと思っています.

本書の勝海舟に関わる話は,
勝が当時の偉人の中で長生きできたが故に,
自分の都合のいいように話したことがさも歴史的事実として
伝わったが故に(言い伝えた側にも責任はあるとの主張も),
筆者が調べた事実とは異なると言うことで,
ここにも筆者なりの解釈が入っていることは間違いありません.

史事としての精度は筆者の主張が正しいかもしれませんが,
勝ファンからするとそんな証拠はさておき,
受け入れられないことでしかないのかもしれません.

歴史って,こんなもんだったよな.... 
を再認識してくれる1冊であり,
興味深く読ませていただいたことは,
事実はどうあれ,これはこれで良かったように思っています,