日本型リストラの限界
今月(2014/11)の日経新聞 『私の履歴書』 は
コマツの前社長,坂根正弘氏 の回顧録です.
ここに大変興味深い話が書かれていました.
米工場の再建
2度目の渡米で6つの工場の内2つを閉鎖した坂根氏,
その2つは米国合弁先の拠点であることから
米国流の理詰めで説明して閉鎖を納得してもらったそうですが,
更に1社,コマツの資本で立ち上げた1社は日本流のリストラで
不況期を乗り切ったそうです.
日本流リストラとは,社員を解雇せず,賃金カット,
その間の仕事はどんな形でも文句を言わずやってもらい
景気が回復したら事業を元の形態に戻す,いわゆる日本風です.
この考え方の根底は 『雇用維持』 です.
これによって工場閉鎖を乗り越えたコマツ資本の工場でしたが
その後の有り様に課題が残ったそうです.
景気が戻ったあとに積極的な投資ができない
また景気が悪くなったらどうする...のスタンスだったそうです.
その工場は次の景気回復期に積極的な投資ができず,
他社に大きく取り残されたそうです.
→ 潰れたとは書いていませんが...
この日本特有の 『労働力の低い流動性』 は
人を大切にする雇用の有り様であり,美談として語られますが
その反面,攻撃的な投資が出来ず,
短期集中で収益を上げなければならないビジネスでは
例えば,半導体ビジネスもそうかもしれませんが,
他国の攻勢に勝てないというのです.
確かにその通りだと思いました.
日本の雇用形態,良いところばかりではないと言うことです.
このあたりが経営者の勘どころ,
適度な落としどころをどこにとるか,難しいところですね!