出世する人は人事評価を気にしない | 都の西北 / 山梨 / 甲府 / 愛宕山からチトフナ(世田谷)に!

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2004年12月に山梨県に移住,15年を過ごした後に
2020年3月に世田谷に引っ越しました!

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出世する人は人事評価を気にしない
  (平康慶浩著 / 日経プレミアシリーズ)

これまで読んだ人事・労務関連の書籍の中で最も印象に残る1冊!

人事・労務関連の書籍はこれまでたくさん読んでいますが,
本書はその中で最も印象に残る優れた1冊だと思います.
とにかく考察が鋭いというか,
著者は実際に企業サイドの人事関連業務にも携わっており,
単なる机上の理論を展開しているのではなく,
実務を通しての現場の視点を融合して考察,理論展開しており,
実務家の我々にとっても納得できる内容に
まとめていることが何よりも素晴らしいと思います.

特にこれまでに無い斬新な考察として,
一つ目が
 部長と課長の昇進の有り様に境界線を引いている点があげられます.

 過去を確認する基準から昇進判断される
 (優秀な仕事が出来るという「卒業基準」)課長への昇進と,
 将来を確認する基準から昇進判断される 
 (管理職の仕事が出来るという「入学基準」)部長への昇進に
 明確な区分けしている点です.

 ここでの発想は「使われる側」から
 「使う側」への変化を捉えることが重要なポイントと主張しており,
 使われる側の発想を持ち続ける限り
 使う側への移行はないと説明しています.
  この指摘には頷くばかりです!

次に,経営陣まであがれる人のケースを
スペシャリストとジェネラリストに区分けして,
スペシャリストの場合は「卒業基準」が適用される場合もありますが,
概ね「入学基準」がこれまで以上に重視されると共に,

「一従業員の視点から,
 組織をマネジメントする管理者の視点に変われるかどうか」が

判断基準になっていると言います.
部長も所詮は使われる側であり,管理職から経営層になる際には,
極めて大きな視点の変化が必要になる
との主張は実に納得がいく論理展開です.

例えば,会社が順当でない時期に選ばれる経営層は
「卒業基準」で選ばれる場合は稀で,
変化に対応できる 『思いを巡らせ行動する』 ことが重要とあります.

部長であれば「目的達成」で良いのですが,
経営層では「勝利へのこだわり」としてより強いビジョンが必要となります.

最後に,出世している人たちのパターンをいくつか挙げていますが,
周りを見渡してもその通りではないかと思います.

 ・ 繋がりを大事にしている

 ・ 質問を繰り返している

 ・ 仕事と生活とを区分けしない生き方をしている

 ・ 働くことでストレスを押さえている
    (仕事こそが生き甲斐と言えるような考え方)

自分にとっては過ぎ去りし日々になりますが,
「会社の中の人生は40歳が転機」との指摘で,
そこからの10年が大事とあります.
 これもそうだったかもしれないと頷く次第です.

この書籍は,筆者が話題を提供したいであろう我々中年世代だけではなく,
これからの若い人にも読んでおいて損がない内容だと思います.

 会社人生は概ねこんなものかもしれない...