流通革命 | 都の西北 / 山梨 / 甲府 / 愛宕山からチトフナ(世田谷)に!

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2004年12月に山梨県に移住,15年を過ごした後に
2020年3月に世田谷に引っ越しました!

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流通革命

今日の日経新聞,日曜に考える『流通革命』50年の興亡 からです.
今月は イオン・ダイエー恩讐越えて,価格決定権再編で手中に
 → PB(Private Brand),メーカーを動かす.

流通大手と言えば,今はイオン,セブン&アイが2代巨塔(ただし国内)
これに加えて家電のヤマダ電機が思い浮かぶところです.
ただ,少し前はかなり様相が異なり,小売り最大手はなんと言ってもダイエー
その創設者の中内功氏は教科書に載るくらいの有名人でした.
 → 豊臣秀吉,松下幸之助,中内功,出世が特に顕著なお三方
そのダイエーも今や自立できずイオン指揮下に入ってもパットしないのが現状,
2000年頃から流通業の潮目は大きく変わっているのがわかります.

『流通革命』と言う言葉は1962年(今から考えると大昔?)に
経済学者の林周二氏が執筆した著書のタイトル,
勃興するスーパーと変貌する社会を重ね,近未来の消費社会を描いています.
当時からすると,『セルフサービス』と言う事場すら斬新だった時代,
モノの売り買いは今で言う『パパママショップ』での地元商店街で
各製品個別に取り扱うことが普通だったわけです.
 (野菜は八百屋,お肉は肉屋,魚は鮮魚店,文具は文房具店...全て別々)

このような形態に介入してきたのがスーパーマーケット,
米国で主流な物流の有り様,それをいち早く国内に展開して最も成功したのが
ダイエーだったわけです.『主婦の友ダイエー』,日経私の履歴書を
中内功氏が執筆されて,それを読んでいた頃の記憶はまだ鮮明です.

 小売りの利点は 『現金取引』 
  通常商法である手形で何ヶ月も後に現金が入るビジネスとは異なる!
  この点も小売業に将来があると言われた由縁の一つ,そんな話もありました.

メーカーによる大量生産とスーパーが太いパイプで結ばれることにより
非効率な卸売り業務が無くなり,商品の価格は劇的に下がる,
これによって消費者の生活が豊かになると言ったインフレからの脱出論は
半分は当たっていますが,今のデフレまでは想像できなかったようです.
とは言え,この『流通革命』と言った言葉にまったく抵抗感を感じ無いことは
それを我々現状は受け入れているのではないかと思います.

さて,イオン vs. セブン&アイに関する考察ですが
ネットを開けば山のように調査報告が出てきます.
それほど興味を持ってみている人が多いという事だと思いますが
良くできているサイトをひとつご紹介しますと,

 http://www.ullet.com/diff/3382/8267/8263.html

財務指標を一目で比較するにはなかなか良くまとまっています.
これを見て頂くとよく分かるのですが,イオンは結構危ない時期があったと言う事
今が順風満帆の企業であっても苦しい時を乗り越えての今なわけです.

この良く比較される2社ですが,その戦略はまったく違うという考察,
海外まで拠点拡張するイオンに対して,国内重視・コンビニが核となっている
セブン&アイ,そのビジネスモデルが競合に引っ張られずに
個々に成功している点も注目に値する点だと思います.

小売りは規模を拡大することによって価格を下げることが『安売り』の原点,
この拡張をどう進めるかですが,そのネックになっていたのがメーカーによる
価格支配であり,ダイエーの中内功氏は
この価格決定権の奪取が肝要と述べておられました.
電気大手とテレビの売り方で大もめしたことは記憶に新しいところです.
現状,この価格決定権をメーカーが奪い取られたことでメーカーじり貧となり
昨今の電気大手の収益が下がっていることがそれで,
 (ただ,電気以外のところは赤字までは追い込まれていない点もおもしろい?)
2012年度まで,パナソニック,ソニー,シャープの決算はかなり厳しく
パナソニックに至っては B 2 C(一般消費者向けビジネス) から
B 2 B (企業向けビジネス)への比重変更戦略により
競争劣位の転換を図っていることは周知で,
この背景にあるのも流通革命によるモノだと察します.

さて,この流通革命に次なる変化が現れています.
セブン&アイの鈴木敏文会長が重視する 『オムニチャネル』
リアル店舗とネットの融合です.
インターネットの影響が大きくなることは予想の範囲とは言えますが
小売業へのこの展開をここまで予想できた人は
それほど多くなかったと思います.次はこの点に流通革命が起こると思われ,
これに勝ちきった企業が次の10年に生き残っている,
そんな展開が予想されます.

企業生き残りの術,これは変化への対応に他なりません.
変われない企業は淘汰される,この点を肝に銘じて
我々は日々の業務に従事しなければならないと思いますが,
言うは易し,成すは難し でしょうか...