スコールの夜(芦崎笙著 / 日本経済新聞出版) | 都の西北 / 山梨 / 甲府 / 愛宕山からチトフナ(世田谷)に!

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2004年12月に山梨県に移住,15年を過ごした後に
2020年3月に世田谷に引っ越しました!

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スコールの夜(芦崎笙著 / 日本経済新聞出版)

臨場感ある内容,悩ましい今の時代を痛感(涙)!

筆者は現役の財務省官僚,
エリート中のエリートが業務の間に描いた力作ということで話題になっていますが,
その話題性に応えた内容だと思います.

メガバンク(今のみずほ銀行,旧第一勧銀あたりがモデル?)のリストラを背景に,
子会社のリストラ,ドロドロした大手ならではの人間関係と出世競争,
銀行に限定されない大手ならではのどこにでもあるような話ですが,
主人公の吉沢環(たまき)は男女雇用均等法制定後に入社した女性キャリアの第一期生,
彼女がこのドロドロの会社人生の中でもがく姿は斬新な印象が広がります.

特に女性のキャリアの拡張に際して,女性ならではの『逆差別』問題は
今のこの時代でも悲喜交々議論されており,
なかなか根の深い問題ではあります.
ただ,欧米に比較して女性の活用が遅れている日本では,
本書は問題提起をしてくれるようにも思います.
この題材は,財務省のキャリア育成でも同じ問題を抱えているが故,
舞台をお役所から銀行に変えて(変えないと暴露本扱いされてしまうが故の施策か?)
小説風にしたようにも思いました.

筆者が言いたかったことは種々あると思いますが,推測するに,

『エリートにはエリートなりの悩みがある!』

『気楽なサラリーマンといわれる中にも精神的な葛藤がある!』

『仕事はきれい事だけでは進められない,理に解さない仕事も多い?』

『女性の社会進出は男性の場合よりも格段に厳しい!』

  種々考えさせられた,現状社会を知らしめる一冊でした!