成功は一日で捨て去れ (柳井正著 / 新潮社)
ユニクロの株価が上がり続ける本当の理由が分かります!
この本を読むまでは正直,『フリース』,『ヒートテック』,『ブラトップ』
連続した製品開発の成功を成し遂げるユニクロばかりに目が向いていたのですが,
実はそれは一部分,
本当にファーストリテーリング(FR)が勝ち上がっている理由は,
周到な事業戦略の立案,積極的なM&A の展開,幹部候補生の教育,
そして毎年年始に出される年頭挨拶に込められた
柳井氏の強烈なメッセージに込められた起業家としての志,
これが本当のFRの強さだったことに斬新な気付きがありました.
単なる大手企業社長の成功談ではなく,
事業戦略とはこう立てるべし,
実務家向け経営学の教科書的な役割すら
持っているのが本書だと思いました.
特に印象深かった事に,
事業拡大におけるFRのM&A戦略がここまで綿密,
且つ大胆に進められている事を知るに至ったことです.
最近は珍しくないのかもしれませんが,
FRにはM&Aを専門に取り扱う推進室があり,
実に積極的なM&Aを展開,
それが必ずしも成功しないとしても会社のブランド価値向上に
繋げているしたたかな柳井氏の策略,
事業を大ききするとはこういう事なんだ...みたいな
感銘めいたものがありました.
更に印象深かった事として,
柳井氏が考える幹部教育の在り方が述べられている点です.
今後のグローバル展開を念頭に200人の経営幹部の育成が必要とあります.
さらにその教育の在り方の基本が 『経営は実行・実践が命』 であると!
他社の失敗事例や成功事例の分析,課題を探ることは
柳井氏の追求する経営者への教育ではなく,
考えながら実践する経営の在り方を教育すること,
出来てなんぼ,と言う事だと思います.
経営は常に 『砂上の楼閣』,油断して自己点検,
自己変革しなければその時点で終わる.
会社の繁栄とは経営者と社員全員が同じ希望と高い志を持ち続け,
しっかり現実・現場を認識した上で常に最大限の努力を怠らない,
こういった企業が今後生き残れるのであり,
今のFRはそれに近い状況にあるように感じました.
2009年の執筆ですが,2014年の段階でもFRは勝ち続けていますね!