魂の経営(古森重隆著 / 東洋経済新報社)
『イノベーションのジレンマ』を乗り越えた富士フィルム
最後の言葉にあるように,富士フィルムの『勇気』を体験できた良書です.
写真フィルム業界では世界の巨人だったコダックが破綻,
でも富士フィルムは破綻どころか業績は上向き,何故?
このことに興味を持つ人は結構多かったようで,小生もそのひとりでした.
今や銀塩フィルムで写真を撮る一般人は極めて稀な存在,
デジタルカメラがこの市場を破壊したわけですが,
このような環境下に類似して無くなった製品は数え上げるときりがありません.
例えば,年賀状と言えば『プリントゴッコ』だった過去の習慣も
デジタル化によって消滅,このデジタル化のかつての主役であったPCですら
今やスマホに淘汰されつつあるのですから,時代の変化とは恐ろしいモノです.
この脅威を乗り越えた富士フイルムの実話はまさに『イノベーションのジレンマ』を
乗り越えた事例になります.対して,乗り越えられなかったコダックは
まさに過去の成功体験から抜けられなかったが故に破綻します.
成功は失敗の始まりであることを本書は現実を例示しつつ教えてくれたわけです.
加えて,著者の古森重隆氏は経営者としての心構えに関しても教えてくれています.
組織のトップとしてやるべき事は何か,有事に際して経営者がやることは4つ!
読む: 流れを掴み,将来を予想する,これを読むと言っています.
構想する: 読みを具体的なプランに落とし込む.
伝える: 組織を動かすメッセージの発信,そのタイミングと方法も大事!
実行する: リーダーが陣頭指揮を執りやってみせる,それで組織が動く.
組織におけるナンバー1は真剣勝負を余儀なくされる,全責任は社長の肩にあるのだと.
サラリーマン社長であってもここまでやれる,
言える人はなかなかいないのかもしれませんね?
実績でそれを証明しているところも凄いですね!
久しぶりに爽快感を味わうことが出来た良書だと思います.
山本五十六の名言が引用されています.これは小生も大好きな一節です!
やってみせ,言って聞かせて,させてみせ,褒めてやらねば,人は動かじ
組織を動かすというのは,こういう事なのだと再認識しました.