学生さんは時間がない。
社会人はもっと時間がない。
そこで、短答式を最小の知識で合格するにはどの程度の知識が必要か+論文知識にどの程度、知識の追加が必要か、という観点から問題を見ていくことにします。
なお、一般教養を0点とすることにし、法律科目で8割目標とすることにする。
【民事訴訟法 編】
全15問。
民訴科目合計30点の8割が24点。
民訴は全て2点問題で、12個の正解が必要ということ。
・31問 誤り肢 5 移送 2点
条文知識
ア 17条・22条2項 17条で「当事者間の衡平を図るため必要があると認めるとき」は移送をすることができる。また、22条2項では再移送の禁止が定められているが、【別個の事由によって再移送することは妨げられない】という百選レベル(判例六法も掲載)より、本問では正しい肢となる。
イ 16条で管轄違いの場合は職権で移送することができるとしている。しかし、同条2項は、自ら審理及び裁判をすることができるともしている。わざわざ共同訴訟(38条)として訴えたにも関わらず、140万を超えないから各被告人の簡裁でやれということを認めれば、当事者主義にも反するし、訴訟が著しく遅延してしまうことになる???。よって、正しい。
ウ 22条3項 移送の裁判が確定すれば、訴訟は初めから移送を受けた裁判所に継続していたものとみなされるので、移送されたからと言って時効中断の効力が消えるわけではない。もし消えたら移送のタイミングとか回数次第で負けちゃうみたいなことになりますよね。よって、正しい。
エ 19条2項 たんなる条文知識 ただ、ちょっと細かい条文のような気がするから悩んだ人も多いだろうが、不動産に関する訴えは140万を超える場合の方が多そうだから、どうせ地方裁判所になるんじゃないのかな~という様に考えれば正解にいけるだろうか。正しい。
オ 21条 移送の決定に対しても、移送の申立を却下した決定に対しても即時抗告は可能。よって誤り。
総論 細かい条文+判例知識も必要となるが、正解を導きだせるオの脚自体は簡単な条文知識となる。即時抗告が何に対してできるかという一覧さえ頭に入っていればア・イ・ウ・エで悩んでも正解には辿り着ける問題だった。
・32問 正しい肢 1.5 共同訴訟 2点
条文知識
ア 保留 正しい
イ 民法440条 相対効が原則 誤り
ウ 民法440条 相対効が原則 440条が規定する434条から439条までの条文に、保証人にも効果が及ぶことにはならない。誤り
エ 保証人が主債務者が提出した証拠を援用できるか。確かに民法は連帯債務者は原則相対効を定めており、440条の適用除外に該当しない上、当事者主義・処分権主義により他者の証拠を援用出来ないようにも思える。しかし、証拠共通の原則(判例六法掲載)によって、他の共同訴訟人とその相手方に対する関係においても証拠資料とすることができると判旨している。誤り
オ 39条 共同訴訟人独立の原則 他の共同訴訟人に影響を及ぼさない。正しい
総論 39条末尾を知っていればアが分からなくてもイ・ウ・エ・オが判断できるであろうか。
・33問 誤り肢 ア・ウ 訴訟告知 2点
条文知識
ア 53条3項 記載しなければならないのは、「理由及び訴訟の程度」であり、攻撃防御方法の要旨は不要。よって誤り。
イ 訴訟告知を受けた第三者は参加的効力が及ぶことになる。53条4項、46条。にも関わらず、告知人が自ら補助者を排除すべく異議申し立てができるようでは第三者が著しい不利益を被るので、そのようなことは認められない。よって正しい。
ウ 53条2項そのまま
エ 保留 正しい
オ 矛盾判決の防止・・・?
総論
・34問 誤り肢 ウ・エ 訴訟記録 2点
条文知識
ア 91条
イ 91条3項 謄写は当事者及び利害関係を疎明した第三者はできると規定している。
ウ 保留
エ 92条1項
オ 人事訴訟法35条
総論
・35問 誤り肢 エ・オ 専門委員 2点
条文知識
ア 92条の6 2項 条文そのままで、裁判官の除斥忌避のような急速を要する場合の除外規定はない。正しい
イ 92上の2 1項 そのまま 当事者の同意までは要求していない。正しい
ウ 92上の4 但し書き、当事者双方の申立がある場合は専門委員の関与を取り消さなければならなくなる。正しい
エ 92上の2 2項 専門委員が当事者又は鑑定人に対して直接に問を発する際は、当事者双方の同意を要件としている。誤り
オ 92上の2 3項 和解を試みる期日において専門委員に説明を聞く場合は、当事者双方の同意が要件としている。誤り
総論 専門委員の条文自体読んでない人が多いのではないだろうか。現場思考で考えるとしたら、3つの問題文に入っている【同意がなくとも】という単語に着目すれば解けたであろうか。当事者主義の観点から、どの程度、専門委員の関与を認めさせてあげるべきかという発想が思いつけばというレベルであろうか。
・36問 誤り肢 ア・オ 訴訟手続きの中断 2点
条文知識
ア 124条1項1号 当事者の死亡によって訴訟は中断する。誤り
イ 一身専属である以上、原告が死亡すれば原告の地位を相続する者もいないので裁判のやりようがない。よって、中断ではなく終了する。正しい
ウ 47条1項の独立参加当事者も参加した以上は手続きの適正を担保されるべきであり、当事者と同様に扱われる。そして、124条1項1号で当事者が死亡した場合は訴訟手続きは中断するので正しい・・・?
エ 保留 正しい
オ 124条2項は、訴訟代理人がある間は訴訟は中断しないとしているので、逆に訴訟代理人が死亡した場合は中断するということ・・・?
総論
・37問 正しい肢 2・4 争点及び証拠の整理手続 2点
条文知識
ア 169条2項 手続きを行うのに支障を生じる恐れがある場合は傍聴を許可することはできない。誤り
イ 171条3項 受命裁判官は188条による調査・鑑定の嘱託、文章を提出してする証書の申出等の裁判をすることができる。正しい
ウ 172条但書 当事者双方の申出がある場合は取消さなければならない。それ以外では「できる」なので裁量がある。誤り
エ 168条 条文そのままではなく単語を変えてきたが、意見を聞くことができるなら尋問もすることはできるはずである。正しい
オ 保留
総論 一応は条文の知識だけで正解にはなる問題。
・38問 正しい肢 3 裁判上の自白 2点
条文知識
ア 179条 自白した事実及び顕著な事実は、証明することを要しない。としており、当事者が申請に成立したと認めたものに対し、裁判所は契約が成立しなかったと認めることは、当事者の処分権主義にも反し、認められない。問題文自体もおかしな文章になっている【~陳述をした場合にも】せめて【~陳述した場合であっても】とするべきであろう。よって問題文自体がおかしいことから誤りだと気づける。誤り
イ 裁判上の自白は原則として取り消すことはできないが、自白した事実が真性の事実に適合せず、かつ、自白が錯誤によることを、自白者が証明した場合に限り、その取消が許される。(大判大11.2.20)だから誤り?
ウ 179条そのまま?正しい
エ 当事者の自白は証明することを要せず、判決の基礎にすることができるが、必ずしも判決の基礎にしなければならないというわけではない?よって誤り
オ 保留 誤り
総論 条文そのままではなく、事例問題にしている。条文の文言を正しく理解・記憶し、仕組みをきっちり理解できていないと間違える問題。数回素読だけしてました、だとキツイだろうか。
・39問 正しい肢 3・5 証拠調べ 2点
条文知識
ア 183条 証拠調べは当事者が不出頭でも可能。誤り
イ 204条 そのまま 誤り
ウ 201条2項 そのまま ひっかかるとしたら年齢の部分だろうか。正しい
エ 212条2項は196条又は201条4項の規定により証言又は宣誓を拒むことができることは鑑定人になることはできないとしており、宣誓が必要となる。誤り
オ 215条の2 2項 そのまま
総論 いちおう条文そのままレベルだが、きちんと準用先に飛んで確認するという事をやってないと落とす事もありそう。
・40問 正しい肢 3 判決 2点
条文知識
ア 285条 2週間という不変期間は正しいが、起算日は判決書又は調書(254条2項)の送達を受けた日からとしている。文章によってきちんと内容を確認状態になって初めて判断できるから・・・?口頭で説明されただけだと決めきれないよ!ってこと?誤り
イ 252条 判決の言渡しは、判決書の原本に基づいてする。としている。と、いうことは、判決書が無ければ言い渡しをすることができない。誤り
ウ 251条2項 そのまま 正しい
エ 規則155条1項 そのまま 理由を朗読する場合は2項の「相当と認める場合」でよい。誤り
オ 255条1項・2項 当事者の申請がなくても必ず送達しなければならない。誤り
総論 民訴施行規則を交えてきてるが、正しい肢の条文自体は簡単だと思えた人は多いだろうか。一度裁判所の民事に傍聴行った人は分かるかもしれないが、民事は人気がない。当事者が誰も来ず、見学の自分だけいて速攻で終わった事などもあった。書記官から「代理人の方ですか?」って聞かれてキョドってしまった経験も。
・41問 誤り肢 2点
条文・制度知識
ア 保留
イ 保留
ウ 259条1項 職権で仮執行の宣言をすることができるとしている。正しい
エ 375条1項 「かつ、」以降の部分の問題文がおかしい。ちょっと細かすぎる気がする。誤り
オ 246条 処分権主義に反する・・・?
総論 条文そのままの問題でないので、講師や教師等に直接質問して制度の仕組みや趣旨などをしっかりと理解してなければ全ての肢を切ることは難しいだろうか。。。
・42問 誤り肢 2・3 建物収去土地明渡請求訴訟 2点
論理問題
ア 50条・判例百選 建物収去義務の一部といえる退去義務に関する紛争が第三者との間に移行し、かつ、従前の訴訟資料を利用して実行的解決を図り得るから、当該第三者は本条の承継人といえる。としている。よって誤り
イ 訴訟物たる権利の譲受けした者と解すれば、CはBの建物の賃借権を有しており、訴訟物たる権利を有しているので、Cに対しても効力が及ぶ・・・?正しい
ウ 義務承継人の範囲を訴訟物たる義務の引受でなく、紛争の主体たる地位という風にすれば、Cが無断で入居した者である場合。所有権はCに帰属はしていないが占有をしており、紛争の主体にはなるのでCが引き受けることになる・・・?正しい
エ 紛争の主体たる地位はあくまでBであり、Cは単に当該建物を購入しただけである。訴訟物たる義務の引受であればCに訴訟を受けされることができるが、Cは訴訟物のみを受けただけなので、Cに訴訟を引き受けさせるのは誤りである。誤り
オ エと同じ?誤り
総論 条文解釈の現場思考問題。
・43問 正しい肢 1・4 裁判によらない訴訟の完結 2点
条文知識
ア 262条2項 判例百選 差し戻し後の第一審で本案の終局判決がなされるまでは、本条にいう「本案の終局判決」は存しないから、そのあいだの訴えの取下げについては、本条2項の再訴禁止の効果は生じないとしている。正しい
イ 264条 ぱっと見正しい肢に見えるが、条文の前提条件を削って文言を変えた肢。出頭が困難であり、書面を提出し、他の当事者が期日に出頭して受諾した時に和解が整ったとみなすことができる。誤り
ウ 百選なし、判例六法 和解によって生じた法律関係の有効無効をそれによって直ちに確定することはできない よって、別訴を提起して無効の確認を求める即時確定の利益を有する(大判大14・4・24)誤り
エ 266条2項 訴え取下げ(263条)の要件と混同しないように注意が必要か。正しい
オ 人事訴訟法37条1項 人事訴訟に関わるものは原則適用しない(人事15条2項)が、同法37条1項にて離婚の訴えに係る訴訟における和解に関しては例外で認めている。そのまま 誤り
総論 細かい判例知識や人事訴訟法を入れてきているが、一応は民事訴訟法の正確な知識があって肢が切れる自信があれば問題なく正解できたようです。
・44問 誤り肢 エ 筆界確定訴訟 2点
論文判例知識
ア 筆界確定訴訟では、私人間によって決める性質のものではないので和解で範囲を決めることはできない。正しい
イ アと同じ?正しい
ウ 処分権主義に反するかにも思えるが、土地の境界は私人間で決めることは認められないので、有利にも不利にもなることがある。正しい
エ 保留 誤り
オ アと同じ 正しい
総論 論文で出てくるかと言われると微妙だが、論点的には有名なやつ。
・45問 正しい肢 ウ・エ 簡易裁判所 2点
条文知識
ア 276条2項 書面で通知は必要。誤り
イ 278条 陳述に代えて、書面の提出をさせることは可能。せっかく手続きが簡素な簡裁を選んだのに手続きがめんどくなるなんておかしいだろうと。誤り
ウ 279条1項 そのまま。正しい
エ 275条の2 1項 そまま。正しい
オ 274条1項 この条文は被告が反訴できることを前提とした条文なので、反訴は可能である。誤り
総論 簡裁の基本的な条文知識があれば正解には辿り着ける問題。
今年のイメージとして、去年より条文の知識というより、条文は前提で、制度の仕組みや条文にない部分も仕組みから考えろや!という雰囲気を感じました。そういう意味では去年より難易度が上がったような・・・?
長々と書きましたが、所詮は短答落ちの書いてる文章なので誤りや誤植・後日訂正がある点は多々あると思います。
お気づきになられた方はご指摘いただければ幸いです。
この短答落ちめが!!(◞‸◟)