複視については、まだらに白くなっていた視野は少しずつ透明な世界に戻ってきている感じがした。角度によって二重になるし、右と左の焦点はバチッともとに戻ることはないが、病室からの景色や病院内の検査室までの案内板などの見え方が少しましになってきているような気がした。焦点がグワングワンしている量が減った感じがする、両目の動きの遅さが若干マシになったような気がした。夕方から許可の出るコンビニへ行くと陳列された商品は少しだけ見やすくなっていた。

食事は軟菜というレベルでもずっとかめないままだった。口の筋肉が動かないため舌の動きも良くなく飲み込む感じでやり過ごしていた。流動食を進められたがなんだか切り替える気も起きずそのままにしていた。

息切れはすぐでるし、入浴時のシャンプーや洗顔、ドライヤーは変わらず腕の動き辛さはあり手がうまく動かせずスムーズにはできなかった。

ベッドへ座り足を手で持ち上げていたが、少しづつ足がズルズルと床から上げられるようになってきていた。頻尿も少し改善されてきた。

ウィフガートの2回目が終わった位から、日によって差はあるものの少しだけ良いところが感じられるようになった。しかし劇的には効果はほとんど感じられなかった。


リハビリ室でのリハビリは2人の担当の先生のお休みと日曜以外は毎日あった。全身の体幹を鍛えるためのものと、部分的に弱いところを鍛えるためのもの。病室での聞き取りや私の動きを見て先生方がメニューを考えてくれた。全身の体幹を鍛える平行棒の中で右左足を直線に置き少しずつ進んでいく訓練、片足でじっと長く静止する訓練。グラグラする身体てやってみると結構難しい。両方とも正しい姿勢で長く行えるようになる為に病室では自重トレーニングを積み重ねた。

どうしても傾いてしまう左側の体幹を鍛えるトレーニングは寝転り先生に片腕を引っ張ってもらい自分の力で段階的に左の筋肉を使う訓練や、上がらない腕でおもりを洗濯物を干すように吊り下げていく訓練等、なるへくもとの筋力に戻り普通の生活を送れるようラッシュの電車の乗り換えや家事を想定してたくさんトレーニングメニューを考えてくれた。

たまに桜の咲いてる中庭やグラウンドまで歩く訓練は、鳥のかごの入院中の気分転換にとてもなった。