前回のブログでは、刑務所処遇の変化についたコメントを抜粋しました。

今日のブログは加害者の被害者意識について書いていきます。長らくブログをサボってすみません。

 

加害者は被害者意識が強い

 

は?加害者が被害者ぶるなんて、ましてや被害者意識が強いなんて頭おかしいでしょ!というご意見が聞こえてきそうですが、まず私の経験をお話しさせてください。

これまで湯浅のブログをずっと読んでくださっている方はご存知だと思いますが、服役中の私は自分のことを「こんな所に閉じ込められる私はなんて可哀想なんだろう」と思っていました。

夫を含め多くの人を騙し、嘘をついて裏切り、週3回4時間人工透析をする母親の髪の毛を掴んで蹴り飛ばし、家中を引きずり回して「お前なんてここから飛び降りて死ね!」と言い放ち、スリルを求めて欲しくもない物を散々盗み、最終的に服役することになりました。

それでも私は、自分のことをずっと被害者だと思っていました。

 

自分が被害者だと思った理由は?

 

母から受けた虐待とネグレクトについて年齢を重ねる度に恨みに変わり、私は被害を受けたのだから母に仕返しをしてもいいんだという思考になりました。

私をパチンコ屋や雀荘に連れ回したのは主に母でしたが、自分がギャンブル依存症になったことを両親のせいにしました。

刑務所に来てしまった理由は、両親がろくな教育を(倫理観や一般常識)してこなかったからだと思いました。

私の薬物とギャンブル依存に薄々感づきながら、止めてくれなかった夫にも強い被害者意識を持っていました。


こんなどうしようもない両親に育てられた私って、なんて可哀想なんだろう……。

 

裁判の情状証人にさえならない母や夫は、親の責任も夫としての責任も果たさない。

理解者が居ない私は、なんて可哀想なんだろう……。


自分の罪を棚に上げ、本気で自分を被害者だと思っていたのです。

今も虐待の被害者であることに変わりはありませんが、これは後述していきます。

 

被害者意識を無くすには?


確かに私は虐待やネグレクトを受け、幼少期からギャンブルをする環境で育ちました。

身体の傷は治り消えたとしても、そのときに受けた心の傷は消えません。痛かった記憶、怖かった記憶、鬼のような形相の母の記憶、それらは消えることはありません。

母の顔色を伺い、タバコ臭いパチンコ屋の中でやりたくもない球拾いをし、母のご機嫌を取る自分がピエロのように感じました。

タバコが大っ嫌いなのに、楽しくないのに、母のご機嫌取りのため笑顔をつくる自分の姿を今も鮮明に思い出すことができます。この記憶も消えることは無いのです。


これらは私の心の傷のほんの一部です。

自分が誰に、どんな傷を付けられたのか。

この傷に自分で気付いて癒されない限り、被害者意識が消えることはありません。

 

自分の被害と加害を分ける

 

私は両親から虐待やネグレクトといった被害に遭いました。(今日のブログでは幼少期の性被害は横に置いておきます)

そして私は窃盗という加害をしました。

この2つはきちんと分けて考えなくてはなりません。

・両親から虐待を受けたからといって罪を犯していいのか?
・精神疾患だからといって人を傷付けて良いのか?傷付けて良い理由や免罪符になるのか?

なりませんよね。
被害者からすればだから何?となると思います。


私は両親からの虐待やネグレクトで傷付きましたが、それと加害行為は別の問題で、被害者にとって私が虐待を受けたことは関係がありません。

過去の自分が何に傷ついたのか、何に憤って生きてきたのか、人生の棚卸しをしなければ加害行為と向き合うことはできません。

 

アイツが悪いからこうなったんだ、アイツのせいで自分が不遇なんだと、いつまでも被害者意識が抜けないまま人生を過ごすのは、決して前向きではありませんし、被害者に対して失礼極まりないと私は考えます。

 

 

過去に何があろうが犯した罪は罪、償わなくてはなりません。

 

自分の被害を受け入れてください

 

・自分は○○に傷付いたんだ
・自分は○○に傷付けられたんだ
・自分は○○に怒ったんだ
・自分は○○に納得がいかないんだ
 

こうして過去と向き合うことで、自分の傷が見えてくると思います。

その傷が癒されたとき、初めて加害行為を認め、受け入れることが出来るのではないでしょうか。


加害者は、被害から回復する責任があると私は考えています。

被害から回復した上で加害と向き合い、自分なりの方法で罪を償えば良いと思います。


私は被害を受けたことを認めました。

まだその傷は癒えません。と言うか完全に癒えることは無いのかも知れません。

受刑前は全く気付かなかった心の傷を認め、今は定期的に癒すよう心がけています。

癒し方は人それぞれだと思いますが、私の場合はカウンセリングを受けたり心療内科に行き自分の話しをする、ヨガや鍼灸をやる、楽しい時間を過ごす、こういったことでケアをするようにしています。

 

私はホルモンバランスが崩れたり睡眠不足のときに被害者意識が顔を出すことがありますが、もしそういうときに誰かに怒りをぶつけたり傷付けたりしてしまったら、素直に謝れば良いと思います。

私の被害者意識から出た発言でした、すみません。と素直に言えることも、自分の被害を受け入れられている一つの証だと思います。

 

対談動画を撮影しています!

 


YouTubeへのupは今月中を目指します!記念すべき第1回目はもちろん!進藤さんです。

 

受刑者BAR、大盛況でした!


前回に引き続き大好評でした。また開催しますのでこうご期待!
 

性とこころ関連問題学会

 

6月29日(土)9:00~18:00、池袋のメトロポリタンで開催されます。
当日参加もできますのでご興味のある方はぜひご参加ください。

 

アゲハ蝶が羽化しました!