東京都知事選挙は現職の小池百合子東京都知事の圧勝で終わった。選挙結果は当初から予想されていた事であり驚いている人は皆無のような状態だったが、2位争いをはじめ今後の野党再編も関連して多くの人々の関心はそちらに移った。

 

政権与党である自民党は首都で独自候補者を擁立できず、その存在感の低下が懸念されると同時に、圧勝した小池知事が再び国政に踊りでてくるかも今後は注目される。

 

肝心の2位争いだが、当初の予想どおり、宇都宮、山本、小野の順となった。いわゆる野党共闘の候補者だった宇都宮健児氏を共産・立憲が支援し、国民民主党も一部が応援するものとなった。宇都宮健児氏が出馬した2012年の都知事選と比べると124809票も減らしている事となる。2016年で野党共闘(民進、共産、社民等)の候補者だった鳥越俊太郎氏(1346103)の得票と比べると、減ってはいるが、山本太郎氏との得票を足すと増えてはいる。ただ、2019年参議院選の東京選挙区で共産党の吉良佳子氏(706532)、立憲民主党の塩村文夏氏(688234)の合計得票数を宇都宮健児氏は大きく下回るものとなっている。そのような観点からいえば、次期国政選挙を睨んだ上での戦略で考えると失敗した部分が大いにある。

 

れいわ新選組の山本太郎氏は当初の野党共闘での一本化を断り単独で出馬した。発信力が弱り停滞感が否めないれいわ新選組の底上げの為には党首自らの出馬は次期国政選挙を睨んだ戦略上仕方はなかった。ただ、2位を狙った戦略は宇都宮氏に20万票近く離され、期待された伸びはなかった。山本氏が2013年に出馬した参院選東京選挙区の得票数とほぼ変動はない。戦略上は正しいのだろうが、昨年参院選の「れいわ旋風」は下火になったと言わざるを得ないし、今回の結果で野党共闘路線を展開する立憲民主党はれいわ新選組の勢いはそがれたと見て安易な妥協はする必要はないとみるのではなかろうか。

 

前熊本県副知事の小野泰輔氏は名前も地盤もない中での挑戦だったが、日本維新の会が公認並みに支援して2019参院選の音喜多俊氏を上回る結果となった。本人の実力というよりもコロナ対策で脚光を浴びた吉村知事の効果が大きかっただろうし、吉村知事が応援に入っていればもっと得票は伸びた可能性もある。

 

今回の東京都知事選は次期衆院選にもつながるものだと言われるが、得票や出口調査からうかがえるのは野党の勢いは全く生まれていないという事。ただ、安倍内閣に対する支持率は東京で支持「39%」、不支持「61%」と安倍内閣に対する不支持率があまりにも高すぎる。そのような中では政府・与党である自民党と野党第二党である国民民主党の不戦敗は今後の政局に幾分か影響を与えるだろうし、国民民主党に関しては所属議員が3候補に分かれるなどしたので、今後は三分裂になる可能性もある。

 

それにしても、驚いたのはヘイトスピーチで有名な日本第一党の桜井誠氏が約18万票獲得し5位につけた事だ。色々な意味で人々のフラストレーションが高まってきているが

故の結果なのかもしれない。昨年の参院選のれいわ旋風やN国の台頭等の似たような流れを日本第一党が受けているのかもしれない。今後の彼らの動きはN国のやり方を真似てくるだろう。

 

政治や社会が混乱し始めてきたら、極端な意見を主張する政治家や政党が力をつけはじめる。

 

今、民主主義が試されている。