衛藤少子化担当大臣が記者会見で今年の出生数が87万人を下回る可能性がある事を明らかにした。統計開始後初めての90万人割れで、21年を見込んでいた想定より2年も早いとの事だが、先日に厚労省が発表した今年の予想では87~88万人という予定だったので、政府が想定している以上の衝撃的な結果になるのではないか。

 

大臣は「深刻な状態と強く認識している」というが、もっと具体的に取り組むべき。

 

少子化対策というと、保育園設置等ハード面等をいう方がいるが、それが何の解決策になってきていないのも現状であり、また保育行政を巡る不正は続いている。今も元副大臣を巡る問題で捜査の手が及んでいる。少子化対策や保育園行政が一部の者の利益を生む出す道具になってはいけない。

 

そのような事より、子育て世代に対する直接的な政策が必要だ。先ずは、フランスの「N分N乗方式」のように子どもが増えれば増える程、税負担が軽くなる制度等を導入し、対GDP比でみた場合、家族関係政府支出の低すぎる日本のあり方を見直し、少子化対策に積極的に予算を割くべきだ。

 

その上で、民主党政権時に実行した「子ども手当」は復活させるべきだと考える。ばらまき等の批判はあったものの、確実に結果を出したのも事実だ。2010年3月26日に法が成立して、4月1日より施行され、満額ではなく半分の月額1万3000円支給が6月より支給された。(2012年3月に民・自・公の合意で4月から従来の児童手当へ)

 

「子ども手当」は実施後、2010年の出生率は1.39へ2年ぶりに上昇した。厚労省の発表では2011年は1.39と横ばいだったが、これは厚労省がこの年から計算方式を変更した事が大きい。それまでは分母の女性人口は日本人だけだったのに、2011年からは分母に外国人人口を足している。これを従来の計算方式に変更したら出生率は1.49にまで上昇する。支給額を半分でも上昇するのだから、満額支給だったらどの程度上昇しただろうか。

 

ただ、出生数と出生率は同一視できないという問題もある。出生率は上昇しても出生数が減るというのは起こりえる話だし、現にそのような時期もあった。

 

とにかく、政治はこの少子化問題を本気で取り組むべき。

 

我が国の、そこにある最大の危機は人口減少問題だ。