昨年に記した文章ですがアップするのを、ずっとためらっておりましたが、ここ最近ネット上でも色覚検査に関するトレンドも高くなっているので多くの人に知っていただきたいと思いアップする事にしました。


西日本新聞『職業選択で初めて自覚も・・・「色覚障害」早期発見の必要性、指摘の声』

https://www.nishinippon.co.jp/feature/life_topics/article/500131/


昨年、子供たちの通う小学校で「色覚」検査が実施されました。近年は生活に支障がない上、社会的な差別につながりかねない等の理由で中止されているケースもあるようです。子どもの通う学校は選択制でした。(小学校では2003年より保護者の同意が必要な任意実施となったようです。)個人的には就職や進学の際に初めて気づくよりも、早めに分かれば対処できるという考えが私たち夫婦にあったので受けるようにしました。


検査は小学四年生の長男だけでしたが、検査の後、学校からは眼科を受診してくださいとの連絡があり、後日眼科で検査をしてもらうと色覚異常との診断でした。眼科の先生からは自衛隊や消防、警察等一部の職業に従事する事は困難だと言われました。


なんとなくは知っていましたが、日本では色覚検査の結果によって就職できる仕事が多く制限されております。実際に眼科の先生から言われたもの以外でも航空関係は全種等、幅広く仕事の制限はあるようです。


一方、諸外国ではあまり制限はなく、事細く職業制限がある国は国連加盟国では日本だけのようです。色覚異常は染色体のダメージの問題で男性に表れやすいのですが、その割合は日本では20人に1人と言われており、約5%となります。一方、欧米先進国は日本より割合多く810%ともいるようですが、ほとんど職業制限はないようです。


ここまで日本で色覚異常者に対して職業制限がある理由としては、色覚検査で採用されている石原式色覚異常検査表(石原表)の存在があるようです。この石原表は陸軍医であった石原忍軍医監によって開発された検査表で戦前・戦中に色覚異常者は「兵隊として役に立たない上、仲間にも危険を及ぼす」可能性があると理由で徴兵検査に使用した事が始まりといわれ、未だに学校現場でも一般社会でもこの石原表が使用されています。


確かに、細部までつめられた立派な検査表なのかもしれませんが、欧米では学問としては高く評価される検査法のようですが、一般の検査では精度が高すぎてここまで厳格ではないようです。長男の見え方も眼科医の先生が「(長男のレベルでは)このように見えているはずだ」と石原式を基準として指摘するものでもなさそうな感じがします。現に日常生活では何も支障はなく、検査を受けるまでは親族にいるので想定はして注意はしていたものの気づきもしませんでした。また、「色覚異常者はこう見えているはずだ」という想定画面でも私たちと変わりなく見えているようです。単に石原表の数字が一部見えないだけというのが親としての感想です。


日本では「石原表」を学校や一般社会にもそのまま持ち込んだ為に諸外国に比べて色覚異常者に対する職業制限等のバリアが多すぎる社会になったようです。


そのような理由もあるのか、長男のクラスでは男子はあまり検査を受けない子が多かったとの事。


幸い、我が子は精神的なショックは受けていないのでいいのですが、子どものうちから職業を制限させられるというのは酷なのかもしれません。ましてや、就職前の若者にはもっと酷な現実なのかもしれません。


本来は色覚検査の結果は職業適性とは切り離して考えなくてはならないにもかかわらず、石原表の結果のみで就職に制限がかかる「差別」が日本だけで存在しているようです。


学校の検査、眼科の検査の後に詳しく調べてもらおうと大学病院で精密検査をしてもらいました。確かに石原式での検査は私ども親でさえ「こんなに我が子は見えてないのか」と驚くぐらいに、見えてない事が分かりました。色盲の確定診断を行うとされるアノマロスコープ検査では異常が確定はしましたが、D15という近い色を並べていく検査では普通にちゃんと並べられてぃした。


個人的には、色覚による就職制限がかかる以上は学校での色覚検査をやめたがいいとは思いません。ただ、精度の高すぎる「石原式」だけを使用するのではなく、別の検査法を使用すべきだと考えます。また、ユネスコ宣言では「その者の健康に対する直接の利益」が無ければ検査は許されてないので本来はされるべきではないでしょうし、以前のように同意なし検診が復活する事があってはならないと考えます。


また、他の諸外国では当たり前のように就ける仕事に、この時代錯誤の色覚異常の扱いによって就職を含めた「差別」が存在するという事態は改善が必要でしょうし、職業適性とは関係のない「差別」は諸外国のようになくすべきだと思います。(以前に比べたらかなり制限は緩和されているが、未だに一部に不必要な制限が残っているものもある。)


自分の子どもの事ですし、未だに偏見もあるので、書くかどうかも悩みましたが、一人でも多くの方に知っていただきたい現実ですし、私も色覚異常者は就職制限があるという事は知っていましたが、安全性を含めた仕方のない制限だと思っておりました。しかしながら、調べてみると、他の諸外国と比べて日本はあまりにも制限がかかり過ぎており、バリア解除が遅れているという事実がありました。この現実を一人でも多くの方に知っていただき、必要のない「差別」はなくすべきだと思いつづらせていただきました。


一人でも多くの方に、色覚異常に関する現実を知っていただけたらと思いますので、シェア等で拡散、紹介していただけると幸いです。


また、私のブログやfacebookを見られている議員の方々もいらっしゃいますが、改善できるかどうかは別としてこのように他の諸外国と日本は違うという現実があるという事を認識していただけたら幸いです。


一人一人が実情を知る事が、世の中を現実の社会に適した仕組みに変えるものだと信じております。