外国人労働者の受け入れ拡大のための出入国管理法改正に関して、受け入れ企業から逃げ出した外国人技能実習生への聞き取り調査でデータの不備があった。
山下法務大臣が国会で「より高い賃金を求めた失踪が約87%」と答弁していたが、実際のデータは「低賃金」が約67%だった。野党の一部は改竄ではないかとの指摘もあったが、事の真意は分からない。
この外国人労働者の問題を巡って野党各党は失踪した技能実習生は「被害者」という視点で物事を捉え、論じている方が多いように思うがどうなのだろう?
確かに外国人技能実習制度には問題点は多いと感じる、また慣れない土地で家族と離れた遠い日本で暮らさないといけない辛さも理解はできる。
ただ、彼らは全てが過酷な状況から逃れる為だけに失踪しているわけではない。
現に法務省が開示した失踪した外国人技能実習生2870人から2017年に聞き取った調査では、失踪の理由(複数回答)は、
「低賃金」1929人(67%)
「低賃金(契約賃金以下)」144人(5%)
「低賃金(最低賃金以下)」22人(1%)
「実習終了後も稼働したい」510人(18%)
「指導が厳しい」362人(13%)
「労働時間が長い」203人(7%)
「暴力を受けた」142人(5%)
と示された。
このデータ上からも明らかになっているのは、「より高い賃金を求めて」彼らが逃げているのが実情であり、野党側が追及している問題点はわずかな数字でしかない。
実際に私も現場の声を聞く機会が多いが、大半は「より高い賃金を求めて」逃げているという声をよく聞く。
失踪する外国人技能実習生の間には既に失踪する前からネットワークが存在し、自身の給与や労働環境についてSNS上でやり取りができ、そこに甘い言葉をささやいてくるブローカーが介入してくる。
聞き取り調査の数字からみえてくるのも、奴隷のような過酷な状況で労働を強いられているというよりも、報酬面の不満が主な原因だという事だ。
ただ、同時にわずかな数字であるが暴力をうけたり、契約と違う内容の報酬だったりする事例もあるので、そのような場合は企業や監理組合に対して罰則を強化して外国人労働者の労働者としての権利を防衛するようにしなければならない。
そして、野党は被害を受けたとされる失踪した外国人労働者側だけの話を聞くのではなく、しっかりと逃げられた側の企業や監理組合からも意見を聴取して、どのような制度だったら良いのかを提案すべきだと思う。
日本の将来の成長を促す為には移民を受け入れ人口をある程度維持できる状態にしなければいけないので移民に関する議論は急がないといけない。ただ、与党も野党も「移民」ではなく外国人労働者という期限を区切った「労働力」としてモノとしか考えてないような形でこの問題を議論をしようとしている今の現状に日本の危機はあると私は考える。
https://news.tv-asahi.co.jp/news_politics/articles/000141178.html