国会での外国人労働者を巡る新たな在留資格についての議論をみていると、本当にこの方々は政府も与党も野党も問題の本質を理解しているのかと疑いたくなる。

 

移民だ!、移民ではない!との議論もされているが、労働者不足も含めて何の為に外国人を受け入れて、どう考えないといけないかの本質から凄く逸脱しているように感じる。

 

そもそもが、日本は本音と建前のもとに社会が成り立つ事があるが、この本音と建前論を国会ではそろそろ止めないといけない。

 

我が国を巡る諸問題(経済、財政、社会保障)に少子高齢化による人口減少がほとんど関係している。人口が多ければ市場規模が大きくなるので経済には活力がうまれるが、少子高齢化により財政は今後益々深刻化する。

 

生産年齢人口(15~64歳)に対する老年人口(65歳以上)の割合は43.9%であり、このまま少子高齢化が続けばこの割合は益々高まる。子育て支援を充実して子どもを増やせばよいという議論もあるが、少子化の要因の殆どは結婚した夫妻が子どもを産まなくなったのではなく、結婚しない人の割合が増加した事であり、今のままでは少子化を止める事は出来ない。

 

そうであるならば、日本に魅力を感じる外国人を移民として受け入れる以外にないのである。

 

しかし、どこかで「移民は怖い」というイメージがあるせいか中々、本質的な議論が進まない。そして、本音と建前論の中で「技能実習生」や「外国人労働者」という言葉が独り歩きしている。

 

彼らは移民なのか、移民でないのか。このような議論はどうでもいいと感じるが、広義の意味では移民になるだろうし、狭義の意味では移民にならないだろう。

 

言葉は悪いが、今の日本には彼ら外国人を我々の都合のよいように利用しようという思いが透けて見える。彼らと本当の意味で共生しようという思いはないだろう。

 

ただ、このような思いは日本が「選ばれる国」である時はよいが、「選ばれない国」に近づいている事を我々はしっかりと認識すべきだ。

 

実際、ベトナムやモンゴル等が労働者を送り出している国である韓国は給与は日本と同額程度払い、そこに食費や住居費が無料だったりする。日本よりも彼らにとっては条件がいい国になっているのだ。

 

また、外国人労働者の失踪の問題を取り上げる方も多い。5年間で2万6千人にもおよぶ技能実習生が失踪している。これを怖いという向きもあるが、私はこの技能実習制度に行政等が関与しすぎてこのような事態になっていると私は考える。

 

外国人労働者(技能実習生・アルバイト目的の留学生)は日本に来る前に現地の学校やブローカーが介在している為にかなりの額の借金を背負って日本にやってきます。実習1,2年で借金を返済し、残りの機関で稼ぐのですが、そこにまたブローカーが存在し、良い条件をちらつかせられ彼らは失踪していく。今の行政が関与しすぎる制度が仇となって失踪者が生み出されていると私は思う。

 

個人的にはこのような技能実習制度等で労働者を確保するのではなく就労ビザの要件緩和と拡充で有能な人材を外へ求めるべきと考えるが、制度をなくすと職業選択の自由が生まれ日本の企業側にうまみがなくなるからそれはやりたくないというのが本音ではないか。

 

今のような本音と建前論の上に外国人労働者や移民の問題を議論すれば、どんどんと私たちが望まない形であり、私たちが恐れる形の移民国家に日本はなるだろう。

 

そうならない為に、そして世界に誇れる移民国家であり、日本の財政等の問題をしっかりと解決し、持続的な成長国家になる為にも我々は恐れず移民に関してしっかりと議論をすべきだ。