支持率も0%代であり、ほとんど注目もされていない野党・国民民主党の代表選が終わった。選挙で代表に再任された玉木雄一郎・衆議院議員は「コドモノミクス」を訴えていた。この「コドモノミクス」とは日本の構造的な問題の一つである、少子化・人口減少対策として、第三子以降の子どもに1000万円の経済的支援を行う政策のようだ。現在、第三子・第四子は16万~17万人といわれ、1.6~1.7兆円が「コドモノミクス」の当面の予算規模との事。その財源は消費税増税分やこども国債の導入、外国支援金の見直し等で賄うとの事。給付の仕方は1000万円一括ではなく、20年分割の月額4万円を支給する。ただ、小学生には現行の第三子児童手当加算(1.5万円)に2.5万円加算し、高校から20歳までは4万円支給する考えのようだ。

 

まず、子どもや子育て世代に対して支援をしていくという理念の意味では評価されてよいと思うし、子育て支援や教育支援は経済対策的な観点からも経済効果は期待できる部分もある。しかしながら、「コドモノミクス=第三子1000万円」と言っているわりには、加算される支給額は1000万円ではなく最大でも約720万円になり、誇大広告もいいところだ。インパクトを狙って「コドモノミクス=1000万円」と言ったのだろうが、これらなら児童手当拡充と正直に述べた方が政策としては評価されただろう。

 

ただ、この「コドモノミクス」政策では少子化・人口減少対策にはならない。また、子育て世代への支援にもならない。少子化の要因は、結婚した夫婦が子どもを産まなくなったのではなく、結婚しない人の割合が増加した事であるし、玉木氏の提唱する「コドモノミクス」では裕福な家庭ほど子沢山という風に誘導しかねない。

 

少子化・人口減少対策を本気で考えるなら、フランスのように単身世帯より子どもが多い家庭の方が税制面で優遇される「N分N乗方式」(夫婦の所得を合算し、合算した金額を世帯人数(N)で割る。Nの計算式は夫=1、妻=1、第二子まで=0.5、第三子以降=1。これだと、収入800万の単身世帯の税金は295万だが、夫婦で800万の五人家族だと67万円の課税となる)や教育費の無償化の方が大いに効果が期待できるし、また同時に移民政策に舵を切る事を提案するべきだ。

 

どうも、この「コドモノミクス」を立案した際に科学的なデータや各国の政策に基づき提案したのではなく、経済的理由が第三子を諦めているという子育て世代の理由だけをもとに、「じゃあ、1000万円お金を配ればいい」という思い付きの政策に飛びついたのではなかろうか。あまりにも国民を馬鹿にした政策だ。

 

今の野党が弱いところは、理念や考え、方向性はよいのかもしれないが、このような1000万給付とうたう「コドモノミクス」のような政策を吟味する事なく提示し、またその政策を国民が望んでいるのではないかと勘違いしているところではないか。

 

子育てや教育に力を入れていく方向性は正しいと思うので、政治である以上、効果が期待できるものに全力をあげて取り組んでもらいたい。野党は自称・ポピュリズムに走るのではなく、しっかりと政策を掲げる政党であるべきだ。

 

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