日韓関係がまた怪しくなってきた。

 

事の発端は、慰安婦問題を巡る201512月の日韓両国の外相によって結ばれた日韓合意に関して、20175月に就任した文在寅大統領が日韓合意に関して新方針を示したことだ。

 

この新方針を巡って日韓両国で批難にも近い応酬もある。

 

ただ、この慰安婦問題は日韓両国で前提が全く異なり、その前提が異なる事を曖昧にして両国間で合意を結んだ事がこのような状況を招いたのだと私は考える。

 

韓国から見たら、「性奴隷」。

日本から見たら、事実に関しては両論あるものの「終わった事を蒸し返す韓国」。

 

と、この問題は映っているのかもしれない。

 

この問題の発端は、吉田清治氏が1982年に戦時中に韓国・済州島で慰安婦狩りを行ったと語った事から「慰安婦=性奴隷」という定義が成立し、日韓両国で社会問題・政治問題化していった。その後、秦郁彦氏などの努力により吉田証言が偽りだったと判明するがそれが社会に浸透することはなかった。

 

吉田清治氏がこの問題を作りだしたのは事実だが、今、日韓両国に横たわるこの問題は何も吉田証言が深刻化させたわけではない。

 

政治的にみて、やはり大きいのは1992年の宮澤内閣・加藤官房長官による記者会見と、その後に続く1993年の河野官房長官による「河野談話」とその後の記者会見が今日の慰安婦問題を決定づけた。韓国の世論においても慰安婦は強制的に強いられたものだとなった。

 

私は政治活動をする前から、この慰安婦に関する問題に関心があり、やはり日韓両国の友好関係を悪化させた元凶は「河野談話」という想いから国会で質問し、真実を明らかにするために河野洋平氏証人喚問を国会に求めた。

 

この慰安婦問題を韓国側にボールがあると思ってる方も多いかもしれないが、韓国の前提条件が「慰安婦=性奴隷」ととらえてる上では、彼らだけでなくこの問題を政治問題へと固定化した日本側にボールがあると考える。

 

韓国に合意を履行しないのは問題だとか迫るのではなく、日本国内で慰安婦問題は性奴隷の問題ではなかったという政府の考えを明確にしなければならないのではないのか。

 

また、第一次政権で2007年に訪米した安倍総理はブッシュ大統領に慰安婦問題に対して謝罪したという。当時の記者会見でブッシュ大統領は「私は安倍総理の謝罪を受け入れる。自分は河野談話と安倍総理の数々の演説は非常に率直で誠意があったと思う」と述べられた。

 

国内でも、韓国に対しても、世界に対しても、この問題に対する日本の分かりにくい態度が事を大きくしている。

 

そのような中で、意味のない日韓合意が結ばれ賠償金ともとらえられる10億円の拠出金を日本国民は出さされた。そして、今回、韓国政府の新たな方針が示され、文大統領は日本に真の謝罪を求めている。

 

確かに、韓国のこのような態度には忸怩たる思いがあるが、日本はこの問題に真正面から向き合い、「河野談話」に対するあり方をしっかり議論しなければ何も前に進まないのではないのか。