「En Marche!」(アン・マルシュ!)とは、フランス語で「前進」という意味で、先のフランス国民会議選挙の第一回投票において圧勝する勢いを見せるマクロン大統領率いる新党「共和国前進」(日本語表記)のフランスでの名称です。

 

ちょうど一年以上前、2016年4月6日に大統領になる前のマクロンが設立した政党であり、多数の議席を有する事が予想される「前進」は、候補者の52%は政治経験のない方々だった。

 

選挙の結果や候補者の立候補の動機等を分析すると、既存の政治体制が社会をしっかりと反映せず機能不全に陥り、改革を含めて推し進めたいというエネルギーや情熱が爆発して、普通では無謀に思えるような政治経験のない多くの方が立ち上がった。

 

「進化は万能である」の著者・マッド・リドレーによれば、誰か一人が意図として世の中をデザインし、計画、実行したものは、それは失敗する。社会全体を進化の力にのせて運んでいるのは先頭の指揮者ではなく、最後尾から重たき社会を押している人々であり、それはボトムアップだという事です。

 

今回のフランスの国民議会選挙の結果も、マクロンがリーダーとしてトップダウンで行ったというよりも、社会に変革を求める人々がマクロン大統領を誕生させ、「前進」を大勝させたのではないのか。

 

このような動きは、何もフランスだけで起きているのではなく、イギリスのEU離脱の国民投票や先ほどの総選挙の結果、アメリカの大統領選挙、日本でいえば維新の会の誕生や小池知事の誕生等も同じような、既存の社会変革を求める動きであり同じ系譜だ。

 

「前進」は、フランスの共和党と社会党という二大政党を打ち破り、保守でも革新でもない中道路線で、民営化や構造改革を推し進める新自由主義的な経済政策を掲げている。

 

日本でも、しっかりとした中道路線の政党が必要だ。厳密にいうと日本の政党は大半は中道に位置するのかもしれないが、既得権を擁護する守旧派や伝統的な保守・革新をイデオロギーで地で行くような政党なので改革を標榜する中道路線の政党はないのかもしれない。

 

ただ、大多数の有権者は保革といったイデオロギーはなく、この中道をしっかりとターゲットゾーンに絞り込んだ政党が誕生すれば大いに躍進し、フランスの国民議会選挙のような状況は作りだせるのではなかろうか。