世界情勢が混沌としてきた。先日(4月7日)にアメリカ軍はシリアに対して巡行ミサイル攻撃を行った。また、以前からシリアだけではなく、核とミサイルの開発を行い挑発を繰り返す北朝鮮に対してもアメリカは強硬な姿勢を示している。米中首脳会談の最中にシリア攻撃を行ったのも、対北朝鮮に対する中国に対してアメリカがプレッシャーをかけたとの見方もあるが果たしてどうだろうか。

 

日本にいるとどうしても、東アジアの情勢に関して世界各国は興味を示していると思いがちだが、欧米諸国からみたら中東問題の方が優先事項は高くて、極東の地域で行われている事に対して関心を示してない。

 

アメリカの対北朝鮮に対する姿勢も北朝鮮のミサイルがアメリカまで到達するかもしれないので、「一線を越えてはならぬ」という理由で強硬に転じたと見る向きもあるが果たしてどうだろうか?

 

私には今回のシリア空爆や北朝鮮に対する強硬姿勢は、イスラエルに配慮した結果のようにしか感じない。イスラエルにとってみれば、シリアを支援するイランやヒズボラは脅威でありシリア内戦によって彼らが力をつける事はイスラエルの安全保障上許されない行為だとみるはずだ。さらに、核・ミサイル開発で連携と取っていると言われるイランと北朝鮮によって北朝鮮のミサイルと核がイランに渡ればそれこそイスラエルにとって安全保障上、許される行為ではなく、北朝鮮の核・ミサイル開発を止める事こそ平和が訪れると考えるのではなかろうか。

 

また、シリア攻撃の前後でアメリカ・トランプ政権の陣容も若干変化があったと言われる。トランプ大統領に影響与えているといわれる、スティーブ・バノン氏が国家安全保障会議のメンバーから解任されたと報道があった。また、トランプ大統領の娘婿にあたる大統領補佐官のジャレッド・クシュナー氏との対立も噂されていた。シリア攻撃に対してもシリア攻撃を主張するクシュナー氏と攻撃に反対するバノン氏と意見が分かれたようだ。クシュナー氏は敬虔なユダヤ教徒でバノン氏は反ユダヤ主義者とも言われているので、イスラエルを一つの軸とする外交戦略が意見対立につながったのかもしれない。

 

シリアを皮切りに、朝鮮半島有事も囁かれる中で、どうしても日本中心、東アジアを中心に事の経緯をみてしまいがちになるが、世界で同時進行で何が行われていて、どうゆ動きがあるのかを常に注目していた方が良いのかもしれない。

 

アメリカ軍はシンガポールから北朝鮮近郊に空母カールビンゾンを派遣したが、これも脅しなのか、本当の攻撃に備えるものなのか。しばらくは注視が必要だ。