工業団地として造成したが、どこも企業は現れず、その後バブル期に自治体や企業や銀行の思惑が一致して作り上げられたハウステンボス。

オランダの街並みを再現したものでした。まだ、海外旅行も高い時代には遠くへ行かずともオランダを味わえると言うコンセプトも良かったのかもしれませんが、ハウステンボスに行ける金額で本場へも行ける時代にはその価値は下がるしかありませんでした。

案の定、出来ても赤字続きの会社で何度も運営主体が変わるものでした。

私もまだ開園して間もない頃に行きましたが、景色が綺麗という印象しかなく、その後「行きたい」とも思いもしませんでした。

そのハウステンボスをHISの創業者・澤田氏が引き継ぎ、18年間赤字だったハウステンボスを、たった一年で黒字へと再生させたわけです。今では、「じゃらん九州」などの観光地ランキングで常に1位という不動の九州を代表する観光地へと発展しました。

そのハウステンボスを見て体感したいという思いから、甥っ子が帰省するタイミングで7月末に子ども達を連れて遊びに行ってきました。約20年ぶりぐらいにハウステンボスに入国しましたが、景観の素晴らしさは以前と変わらず、ほんとにオランダやヨーロッパに来たような、むしろオランダのアムステルダムよりも綺麗な街並みといった感じです。

そして、以前と大きく異なるのはオランダの街並みを再現したテーマパークで終わらず、子ども達も楽しめる「天空の城」といったアドベンチャーゾーンがあったり、澤田氏の著書に記されたスリラーゾーンがあったりして子ども達も楽しめる施設が多くありました。

このスリラーゾーンは、入園者数減少により長年施設として利用せず立ち入り禁止にしてたエリアで施設も老朽化し不気味になった建物を逆転の発想でおばけ屋敷のエリアにしてハウステンボスの人気のエリアです。

また、ロボットが調理をするレストランがあり近未来を体感する事も出来ます。

そういう非現実空間を作り出しているかと思うと、「太鼓の達人」や「釣りスピリッツ」といった普通の街のゲームセンターになるようなゲームを大きなスクリーンでやったり、始めから終わりまで皆で同じにやり、スタッフが実況するというやり方を少し変えただけで、普通のゲームをハウステンボスの人気アトラクションにしたりと発想の転換力があります。

この様に色々な体験、経験が出来るようになったからこそ、万年赤字続きの施設が人気テーマパークになったのかもしれません。

また、ハウステンボスには長崎県佐世保市ハウステンボス町という住民居住区があり既に25年以上の物件なのに今でも数千万円で取引されています。

日本の住居は20年を過ぎると建物としての資産価値はなくなりますが、なぜかハウステンボス町は高値がついています。その理由は海に面する住宅街というロケーションがあまりないからです。日本の場合は様々な規制で港湾は国が施設を造らせないようにしていますが、ハウステンボスには例外があり、その中々ないロケーションが今でも人気です。

以前、宮崎で橋下徹・前大阪市長をよんで講演いただいた時も「宮崎は海が近いのにもったいない」と話され日本の港湾規制の問題に言及されましたが、ハウステンボスを見て、そして分譲地の人気を聞いて改めて規制撤廃の必要性を感じました。

どこもそうですが、開業時はテレビなどを賑やかしたが、その後は利用者減少でお荷物のような住宅になるが、アイデア力のある民間のチカラで活き活きとなる。関西空港にしたり、ハウステンボスにしたり、私の知っている10,20年前のイメージと現在ではあまりにも様変わりしている。

これからの行政は、こういったハウステンボスの様な所を見るべきですし、地域活性化にも役立つ様々なヒントが隠されていると思います。そして、ハウステンボスにはまだまだ観光都市としての様々なビジョンがあるようです。