国税庁によると、2015年度の所得税や消費税など国税滞納残高が9774億円で1986年以来、29年ぶりに滞納残高が1兆円下回ったようです。国税滞納残高が減るという事は企業が税金をしっかりと納められるという事ですから、色々な意味で景気が回復傾向にあるという事になります。

しかし、一方で宮崎県内の場合は滞納残高が35億円で2年連続で滞納残高が増えているという傾向があります。アベノミクスや地方創生というものの地方には何も恩恵がないというのがうかがいしれます。都市と地方の地域間格差も益々深刻になるのかもしれません。

宮崎県内での内訳を見てみると、消費税は14億円、申告所得税13億円、源泉所得税3億円は前年度と同じ。そして、法人税4億円で前年度33.3%増にもなってるようです。業種別にみると、建設、料理・飲食、サービス業などとなっているようで、地方経済はなかなか上向いていないというのが分かります。特に、法人税滞納が前年度33.3%増というのは深刻さがうかがいしれます。

ただ、アベノミクスは地方に恩恵がない、地方創生も地方には恩恵がないといった理由でこの国税滞納という行為を静観していても意味がありません。また、この先もアベノミクスや地方創生の恩恵があるわけでもありませんので、地方においてもいかに生産性をあげるかが重要になってきます。

ここで考えなければいけないのは、日本の構造的な問題の解消ではないでしょうか。確かに以前のように労働力が余っていた状態では税の滞納や社会保険料の滞納をやっている会社でも延命させる事が失業対策にもなっていたと思います。しかしながら、労働力が圧倒的に不足している中で体力も資格もない会社を延命させる事が地域経済にとっても、企業にとっても、労働者にとっても、果たして正しいのかはしっかりと考えていかなければいけません。そういう会社には市場から撤退していただいて新陳代謝をよくしていかねばなりません。企業の新陳代謝を抑える事は生産性を抑える事にもなります。そういった企業には退場してもらい、生産性を高める企業を誕生させ経済成長をさせる事こそが求められるのではないでしょうか。

この20年で日本のGDPは上がらず、ゼロ成長でした。その間に、アメリカもお隣・中国も、世界も成長したわけです。安倍総理は日本のGDPを現在の500兆から600兆にすると言ってますが、その為には企業の新陳代謝をよくしてイノベーションによって新しい産業を興していかねばなりません。その為には、我が国の抱える構造的な問題を一つ一つ整理していく事が急がれます。