昨日、開かれた政府・沖縄県協議会で菅官房長官は翁長沖縄県知事に対して「政府として違法確認訴訟を提起する」と告げ、米軍普天間飛行場の辺野古移設を巡る問題は再び法廷に持ち込まれることになった。

この問題を考える上で、今のように防衛を巡って国と自治体が対立する構図が果たして正しいのかは疑問に思いますし、外交と防衛は国の専権事項ですが同時に地元自治体の協力なくして防衛は成り立ちません。私の考えは、この普天間飛行場の移設問題は一旦、白紙に戻し、国と沖縄双方が妥協できる案へと導くべきだと思います。

辺野古移設を考える上で膨大に膨らむ建設費を考えなければいけません。辺野古の場合は建設費だけで4000億円、場合によっては1兆円近くいくのではないかともいわれており、他の空港建設と比べても高いと言われております。個人的には辺野古にこだわる人の理由としては、防衛や日米の外交問題よりも利権の方が強いのではないかと思います。実際に、軍事的に見ても予定される滑走路は長くないなど、実用として耐えうるのかも疑問もあるようです。

そのような意味では、造っても実用的ではなく誰も喜ばないものを造るよりかは、海兵隊にとっても実用的であり、国も県も双方が妥協できる案を急ぐべきです。

そのような中で、一部報道では政府は負担軽減策として米軍の訓練を鹿児島県・馬毛島への移転する方向で検討しており、近く沖縄県に伝え、協議するとありました。先日も翁長知事が現地視察しておりますし、私の所属するおおさか維新の会でも馬毛島移設を提案しております。

ただ、これらの問題を語るときに二つの視点に立って物事を考えなければならないと私は考えます。

一つは沖縄の基地負担軽減を考える上で他の地域もその協力をしなければならない事。「反対、反対」ばかり言ってては物事は進みません。「日米同盟は大事だが、自分の近くは嫌だから、沖縄我慢してね」というのも身勝手な理由にしかなりません。沖縄の基地負担軽減を考える上では、他の地域もそれなりの覚悟が必要なのです。

そして、もう一つは軍事オペレーション的に可能なのかという点です。確かに飛行機を動かすだけならどこでも可能なわけですが、そうではありません。馬毛島の場合、訓練場もないので実際にはどうなのでしょうか。以前も、このブログで記しましたが、2009年の民主党政権下で普天間飛行場の移設先が議論をされました。その際に、私の地元・宮崎県の新田原基地への移設も一部報道で報じられました。与党の国会議員として各地で分散できるのであればそれは協力しないといけないと思い、官邸で官房長官と会談をさせていただきました。その際に、官邸側から示されたのは「基地を移設するだけならどこでも可能。しかし、仮に新田原に移設した場合、九州の全ての陸自の演習場を足しても米海兵隊が求める訓練場の面積に達しない。新たな訓練場を九州で建設する事は世論の問題などで今の問題よりももっと困難になる。だから、沖縄から出せない。」というものでした。そのような軍事オペレーションの視点からみると、馬毛島よりも現実的な場所はあるのかもしれません。

辺野古の場合は、建設費の問題、そして世論の問題などからしてあきらめるべきだと私は思います。そうしないと、今まで以上に取り返しのつかない困難な状況へと導かれるのではないでしょうか。