参議院選挙が終わり、各種データがそろってきました。

データを紐解くと今後の選挙戦も大変読みやすくなります。新聞は選挙が終わった直後だけに各紙の紙面上で選挙戦を振り返って、様々な分析が展開されます。どこの紙面も勝敗の理由としては、宮崎選挙区の野党統一候補の「知名度不足」で支持が広がらなかった事だと結論付けておりますが・・・。そんなのは分析でもなんでもないような気がします。読者からお金をいただいている以上、もっとデータに基づく総括が必要なのだと思います。井戸端会議レベルの話ならそこは報道ではないのではないかと思います。

確かにマーケティングの視点で言えば「認知度」が低いのは致命的なわけですが、今回の選挙のように「自民対野党共闘」という構図の中では、候補者名の「認知度」も確かに大事なのかもしれませんが、「野党共闘」という認知度は高いし、選択肢としてもほぼ二者択一なのでその候補者が「知名度不足」という分析はあまりにも理由になっていないと思います。

各種データを見ていても、確かに「知名度」は不足しておりますが、支持を得てる政党などからも一定数の票が流れているので、「知名度不足」は選挙の敗因には全く関係ないことが理解できます。ほんとに「知名度不足」が敗因なら、支持政党等からも票は流れません。

データを見ていて、面白い数字は「野党共闘」であるにもかかわらず、自民党候補に民進から13%,共産から9%,社民から11%も流れております。対して、自民から野党統一候補に流れているのは5%と非常に少ないものとなっております。

相手から身内の票を取られ、そして相手から票を取れてないというのは戦いの勝敗としては大きいものがあります。

全国的にもそうでありますが、宮崎選挙区では最大の支持は「自民」か「無党派」であります。今回の選挙では野党統一候補が「無党派」層からの獲得票が自民党候補と肉薄しているという分析もありますが、肉薄はいいのですが、「無党派」層のシェアで負けてはいけないんです。無党派層からの支持は国政選挙では構図の問題はあるのですが、「政党支持率+α」になります。確かに、2010年参議院選、2013年参議院選、2014年衆議院選の国政選挙の民主系の候補者よりかは「野党共闘」の効果か取れている方だと思いますが、「政党支持率+α」の域をさほど出ておりません。対する自民党候補は常に従来の自民党候補よりは「無党派」層を取り込む方で「支持率+α」を10ポイント上回っております。今回もそのパターンは崩されておりません。そこに対する対策が「野党共闘」以外打たれていなかったのだと推測できます。

また、選挙戦で「野党共闘」側はしきりに「市民」との連携を強調しておりましたが、データを見る限り、本当の「市民」である「無党派層」対する広がりがかけてますし、「市民」と名乗るだけで実際の「無党派層」とはかなりかい離があるというのが明らかになりました。どこの選挙区でも、いわゆる「勝利の方程式」というパターンが存在するのですが(企業秘密になるので、そのパターンはいいません)、「無党派」層ではこれ以上に自民党と対抗する勢力は取らなければいけません。

確かに、各紙が結論付けるように「無党派」層に関しては候補者の「知名度不足」が大きな影響を与えているのかもしれないのですが、これ以上に大きな問題は「自民」支持層からの獲得票です。

以前にも記したかもしれませんが、過去宮崎選挙区では2004年参議院選、2007年参議院選、2009年衆議院選を除いて野党統一候補が「自民」支持層から最大5%しか取れていません。特に今回は野党統一候補が以前、自民党の公募に2回トライしている方だっただけに、本来であれば「自民」支持層からもっと多く獲得できる可能性がありました。しかし、「民共」合作という手法をとったが為に「自民」支持層から流れてくる可能性のあった票を止めてしまった事が考えられます。だからこそ、全体的な得票数として「民進」+「共産」以上の効果がほぼなかったのではないでしょうか。

また、この「民共」合作の効果もほんとにあったのかは疑問です。選挙のデータは、多くの方は「数」で見がちですが、冷静に分析する為には私は「率」で見なければならないと思います。自民現職は前回(2010年)の選挙よりも得票率を約4%も上げております。これにも色々な背景はあるのですが、これでも善戦というよりも、むしろ後退でしかないのが理解できます。

結論からいけば、「野党共闘」が全国的にこれだけ盛り上がったはずなのに、数字としては何も変わっていないのであれば、宮崎選挙区では永遠に民共主導型の「野党共闘」では勝てないというのが証明されたのだと思います。

このデータを冷静に受け止めなければいけません。データは色々と物事の本質をとらえております。