今回の参議院選挙から18歳へと選挙権が引き下げられます。あらゆるメディアは、「18歳選挙権」に関して特集を組んだりしております。有権者と話していても「18歳選挙権になったから投票率は上がるやろうね!」という楽観的な見方の方が大半を占めておりますし、各陣営もそこにターゲットを絞ったような戦略もされております。

確かに、「18歳選挙権」で多くの若者が選挙に関心を持ってもらいたいし、結果として投票率が上がってもらいたいですけど、私は投票率はそれでも下がると見ております。

実際、参議院選挙を前に福岡県うきは市で全国初の「18歳選挙」が市長選で行われました。当日有権者数は25626人で、そのうち18,19歳は約600人で、全体の2%ぐらいしかありません。投票率は前回2005年74.86%から大幅に落ち込んで56.10%だったようです。約10年ぶりの選挙であるわけですが、「18歳選挙」ではあるものの投票率の下落は止まりません。

それは、なぜなのか?

それは世論調査を分析すればある程度、見えてきます。

あるメディアの最新の世論調査では「参議院選挙の投票に際し重視する政策テーマ」としては、「年金や医療などの社会保障」を挙げた人が23%と最も多く、次いで「景気や雇用」18%、「少子高齢化や子育て対策」15%となっております。

これまでの選挙の世代別投票率や今回の世論調査の回答などを分析すれば分かってくるのは、選挙の投票においても「高齢化」になっているという事です。高齢の方の方が選挙に行き、世代が若くなれば若くなる程行かなくなる。

今は、選挙の度に投票率が5%程度下落しておりますが、これも今まで投票所に足を運んでいた高齢者の方が様々な事情で投票所に足を運べなくなったと推測されます。それが、高齢化と伴に毎回5%ずつ減っていってる原因ではないでしょうか。

同時にわりと若い方は、「選挙に行く」意義を見出せないので「棄権」という選択肢を毎度されており、これが動かないものとなってしまいました。一度、2009年の政権交代選挙で動いたのですが、民主党政権の失敗で「棄権」が前よりも膠着化したわけです。

確かに、「18歳選挙権」で投票率を上向かせる傾向はあるのかもしれませんが、占める割合が全体の2%でしかありませんし、全て投票に行くとは考えられませんから1%から2%弱しか投票率を上昇させられません。高齢化で5%ダウンし、1,2%の上昇ですから、投票率は「18歳選挙権」を導入してもマイナス3%ぐらいになるのではないでしょうか。

よく、若者をターゲットにした選挙キャンペーンや、「選挙に行こう!」といったキャンペーンにどの陣営も陥りがちですが、それよりも何よりも普段からこれは陣営レベルではなく、国家レベルで「選挙に行く」意義を選挙にあまり行かない60,50,40,30,20代にしっかりと理解させる必要性が大いにあるのだと思います。

選挙や政治に対する好感度を上げなければ、今の投票率の下落傾向は止まらないと思います。残念ながら、陣営レベルではよっぽどスター性のある方が立候補しない限りは投票率を上げる事はできません。だからこそ、国家レベルでの投票率向上に向けた対策が必要だと思います。