昨日の朝刊各紙で参議院選挙の情勢が伝えられておりました。全国的な流れでいけば、「改憲勢力が3分の2に迫る勢い」という結果がでているようです。ただ、これまでも世論調査の誤差や反動で若干結果が異なるなどあったので、メディアの報道は結果に色々な意味で影響を与えます。だからこそ、私は世論調査の結果は安易に伝えるべきものではないと思います。

イギリスでも総選挙やスコットランド独立の住民投票、EU離脱を問う国民投票の世論調査が事前に発表されましたが、どれもことごとく異なる結果になっております。総選挙の際は「ハングパーラメント」(どの党も過半数を取らない議会)と言われておきながら、保守党の圧倒でした。昨日のEU離脱を問う国民投票も直前の調査では残留派が数ポイントリードと言っておきながら、離脱支持が過半数を占めるという結果になりました。

また、日本においても、2014年の総選挙で「維新の党」は議席をかなり減らすと直前まで報道されましたが結果は違いました。私も地元テレビに前日まで「3番手」と伝えられ痛い目にあいました。結果として二番手と言われた方に1万6千以上の差をつけたわけですが、こんな一夜にして差がつく数字じゃないから世論調査の制度が悪いとしか言えません・・・。

事前に、世論調査を伝えると、陣営の動きを止めたり、勝ち馬に乗る流れを作ったり、逆に「勝たせてはなるものか!」と反動を生んだり、少なからず何らかしらの影響を与えるわけです。メディアも何の為に世論調査をして情勢を伝えるのかというのをしっかりと示す必要はあるのではないのか。メディアの方から言えば、「投票の参考に!」と言うのでしょうが、スポーツ観戦と一緒で「結果が分かってる中継」を見てもしらけるわけです。本来は結果は決まってないのに、世論調査という仮定を結果だと示しているところにはメディアの罪は大きいのだと思いますし、そんな伝え方が投票率を下げる原因にもなっているのではないのか。

しかしながら、この世論調査は選挙を戦う陣営にとっては分析する立派なツールにもなるわけです。これを見ていると、色々なものが見えてきます。

宮崎選挙区においては、「松下氏が先行 追う読谷山、河野氏」という見出しで宮日新聞は伝えております。自民党の松下氏は自民支持層の8割、公明支持層の7割、民進支持層の2割を固めており、対する読谷山氏は民進支持層の6割、社民支持層の2割、共産支持層の5割を固めていると伝えられます。

まあ、政治はミズモノなので失言やスキャンダルで情勢は大きく変わりますが、詳細なデータを見らずとも、この結果を分析すれば大差は一目瞭然です。実際に、この共同通信の世論調査の生データを見ても松下氏、読谷山氏の差はトリプルスコアに迫る勢いです。社民党支持層や共産支持層の読谷山氏への支持は今後伸びるでしょうからポイント差が狭まるとは思いますが、当初私ども分析した以上に差が広がっております。

これまで各陣営独自の世論調査を行っているでしょうが、読谷山陣営はその調査結果を活かす事なくというか、使う事なく、「なるほどね!」という感じでしまい込んでいるのかもしれません。事前の世論調査の結果を活かしておれば、こんな結果になっていませんし、この数字は半年前とほぼ変わっておりません。

ただ、もっと冷静に分析すると色々なものが見えてきます。現時点の「トリプルスコア」が示すものが何なのか?

「安保反対」、「安倍政治を許さない」、「戦争法案廃止」、「野党共闘」、「市民連合」という野党共闘側のキャッチフレーズが国民の心に届いてないのかもしれない。これまでの政党支持率や内閣支持率を見ても、メディアが伝える程、彼らの需要はないのではないか。これまでも指摘しましたが、世論調査のデータを分析すると、安保法案にしても「安保法は必要だけど、あの安倍政権のやり方には違和感がある」といったものであり、彼らの言う「安保反対」、「戦争法案廃止!」というものではないのではないか。

また、「野党共闘」と言うが自衛隊のあり方や消費税の問題まで政策が全く異なる民進党と共産党が共闘する事が正しいと思っているのは、ごく一部の玄人支持層でしかないから全体的に支持が広がらないのではないか。

また、「市民連合」というものの市民の支持を圧倒的に得れていないのが現状であり、そもそも彼らに「自分たちこそが「市民」の代表だ!」と思い込んでいるところに無理がある。いわゆる無党派の支持は1割以下というので、これは市民の代表とは言えないのかもしれません。

この様な「55年体制」の頃の政治闘争を彷彿とさせるような選挙をしているから、結果として「自民1強」体制がますます強くなる。国民の思いは積極的に自民を支持しているとは私は思わない。でも、国民はなんちゃって「野党共闘」よりは、自民党の方が信頼できるとして、このような世論調査の結果をもたらしているのではないだろうか。

ただ、新聞が変わると松下氏圧倒的優位は変わらなくても、そのデータの中身がかなり違ってきます。この新聞で傾向が若干異なる事をどう分析するのかというのも大変重要になってきます。

いずれにしろ、以前も述べましたが、この「野党共闘」で共産党は得をするでしょう。結果、共産党は比例区の票で伸びてきております。そして、この「野党共闘」は「自民1強」を間違いなくサポートするものです。

ただ、明るい希望も私にはあります。野党再編、もしくは政界再編の種を今回の参議院選挙は撒いたのかもしれません。

いずれにしろ、我々 維新の会も全国で厳しい戦いを強いられておりますが、勢力を拡大していく事に我々も専念してまいります。