参議院選挙で飛び回っていた途中に入った「EU離脱派 勝利」との報道には驚きを隠せない。特にイギリスは私の第二の故郷でもある地なので、住んでいた当時はイギリスがそのようになるとは想像もした事がなかった。

イギリスで行われたEU残留か離脱かを問う国民投票は、離脱支持票が僅差で残留支持を上回った。

事前の世論調査では「残留」が数ポイントリードしているという報道だったので、そのまま残留が決まるのかと思ってましたが、世論調査と逆の結果になり、その影響を受けて東京株式市場の株価は下落し、円高もかなりすすんだ。

このイギリスのEU離脱は今後様々なところに影響を大きく与えるのではないだろうか。

この数十年で、ヒトやモノ、カネが国境を越え単一社会システムを構築するグローバリゼーションが進んだ。EUもヨーロッパという地域に限定したものだが、流れとしてはローカライゼーションの枠ではなく、グローバリゼーションの流れの一環でだった。しかし、グローバリゼーションの反動で、ローカライゼーションやナショナリズムも進み、その一連の動きとしてスコットランド独立の住民投票や今回のEU離脱の是非を問う国民投票があったわけだ。

そして、イギリスの国民はEU離脱を選択した。EU圏内からの移民の増加で仕事を奪われる不安や、EU圏内への工場などの移転で仕事を奪われた不満や、ギリシャ問題でEU自体に対する不満などがあり、結果として残留するメリットを感じなかったわけだ。

個人的にはイギリスは先進国の宿命である「ポスト工業化」社会に移行していて、ロンドンのシティで有名な金融・サービスで富を得た国であったので、結果として今回の離脱決定はイギリス社会に大きなマイナスになるのではないかと見ております。

しかし、この残留か離脱かという単純な国民投票になると、どうしても身近に「利」を感じない人が多い以上は、「感情」の部分でその選択し、「離脱」という判断になったのかもしれない。

それは、我々、おおさか維新の会が推進した「大阪都構想」の住民投票も同じだ。大阪市を解体し行政サービスを行きわたらせる方が結果としては良いはずなのに、「バスや地下鉄の老人パスが切られるのはおかしい!」という不満の「感情」やアンチ維新、アンチ橋下という「感情」が結果として僅差だが「大阪都構想」否決という結果をもたらした。

今回の離脱支持という結果を受けて、はやくもイギリスを構成するスコットランドの二コラ・スタージョン自治政府首相が「スコットランドの未来はEUの一部となることだ」とイギリスからの独立を示唆した。また、北アイルランドのシン・フェイン(テロ組織で有名なIRAの政治組織)もアイルランドとの統一の是非を問う住民投票を行うえきだと表明した。

いずれにしろ、EU離脱だけの問題ではなく、イギリス自体の存続にも大きな影響を与えるだろうし、もともとギリシャ問題で崩壊がささやかれていたEUだが、イギリスが最終的に離脱する際にドミノ倒しのように離脱者が続出するかもしれない危険性もはらんでいる。

さらには、イギリス経済だけではなく、世界経済にも、大きな大きな影響を与える可能性が大いにたかい。

未来は予想はできませんが、「2016年6月23日 イギリスの国民投票」が、今後を大きく揺るがす分岐点になるのかもしれません。世界の混沌とした時代になるのかもしれない。