租税回避地であるパナマやバージン諸島に法人を設立した約36万にも及ぶ企業や個人の氏名や住所などが公表された。この問題ではアイスランドのグンロイグソン首相も法人を所有していた事が明らかになり辞任に追い込まれた。また、イギリスのキャメロン首相も父が法人を運営しており、その利益を得ていたと窮地に追い込まれている。この他にも海外のリーダーの親族や著名人が多く含まれていると言われ、この問題は更に大きくなるのかもしれない。

しかしながら、全てを「悪」とみなすのかは、これまた違うのかもしれない。特に、昨今人気の投資信託などで自身の資産運用をしている人は大なり小なり、間接的にこの租税回避と関わっている可能性もあるわけです。また、商取引上で会社を設立せざる得なかった事情もある場合もあるでしょうから。

問題は明らかに脱税に近い目的で会社を租税回避地に設立して、申告などもしていなかった場合は明らかにおかしいのかもしれません。

ただ、このパナマ文書の問題にかかわらず、税負担の大きい国から企業や個人が逃げ出しているのはこの問題に始まった事ではありませんし、「法人税」の議論の際もよく「日本は法人税が高いから、工場などを海外に進出しなければならない」と企業側の言い訳(本当は、税の問題よりも市場規模の問題だと思う。)が発せされ、マスコミもそのまま伝えている。「租税回避」、「パナマ文書」というものの、企業はあらゆる知恵を絞って、以前から色々とやっているのではなかろうか。

また、都市と地方の格差の問題も規模は違えど、パナマ文書のような問題ではなかろうか。地方に進出している大手チェーンの大半は、その地にほとんど税金を払わずその会社の本社がある大都市に税金を納めている。地方は消費という形でお金を吸い取られ大都市に支払われている形にある。政府は「企業版ふるさと納税」を検討しているようだが、そのような形ではなく、お店を構えるその土地にしっかりと納税する仕組みを構築する必要性もあるのではなかろうか。

パナマ文書でもう一つ注目されるのが、「政治家」についてだ。イギリスやアイスランドのように首相の名前が出てくる事例もあるし、中国のように指導者の親族の名前も出てくるのに、日本人の「政治家」の名前が出てきていないと、マスコミなどで不思議がってる声もあるが、日本の政治家には「資金管理団体」というのがある。私も政治活動をする上で、「資金管理団体」を有しておりますが、この「資金管理団体」が悪知恵の働く政治家の資産継承として利用される場合もある。某首相が突然の辞任を表明した際も、この「資金管理団体」での遺産相続問題が週刊誌に取り上げられる可能性があり辞任したとも言われた。国民は親から子へ、資産を継承する場合「相続税」を払い、「三代で資産はなくなる」と言われるぐらい厳しい課税にあっているのに、政治家が「資金管理団体」を使って、数億円単位で資金を継承できるのはこれは公平とは言えないのではないかと思います。

また、これらの政治資金の使われ方もあまりにも雑というか、それは政治資金でも何でもないのではないかというのは、昨今の報道で色々な政治家が指摘を受けている問題でもあります。現に、今「公用車」問題で話題の舛添・東京都知事にも新たな政治資金支出問題が浮上しています。

報道によりますと、舛添知事の資金管理団体「グローバルネットワーク研究会」が会議費名目で支出した約37万円が家族旅行の疑いがあるというものでした。ここまでくると、何が「政治資金」で、何が「プライベート」なのか分かりません。このような政治資金の使われ方をするから国民に政治不信を与えるし、政治家ばかりがいい思いをしていると感じるのかもしれません。しかも、その「政治資金団体」がタックスヘイブンの機能を有しているとなるとなおさらではないでしょうか。そのような意味では、この「資金管理団体」に対する規制などももっと強化する必要があります。