環太平洋連携協定(TPP)の交渉はついに大筋合意した。日本の場合、どうしても国内問題として農産物のコメ、牛・豚肉などの「聖域」といわれる物が守られるのか、守られないかが焦点となってきた。安倍総理は「コメ、牛・豚肉、乳製品といった主要品目を中心に関税撤廃の例外をしっかり確保できた」と強調されたようですが、牛肉の場合は現在38.5%の関税が16年目には9%へ、豚肉は低・中価格帯の1キロ最大482円の関税が10年目には50円へ引き下げられる。2012年衆院選での自民党政権公約の「聖域を守る」が守られてないのは誰の目にみてもあきらかであると思います。

ただ、「聖域を守れない」ことはこのTPPの交渉に入る前から分かっていた事であり、各国の利害をどこで調整し、落としどころを探るかが外交交渉であり、その結果が大幅な関税の引き下げだったのだと思う。

私は以前はTPPは反対でした。民主党の野田政権で交渉参加の為の協議入りした時点で、TPPは止められないと感じたわけです。案の定、その後、自民党安倍政権になり交渉参加し、今回の大筋合意となった。自民党安倍政権になり交渉参加した時点で私はTPP反対という考えを改めました。(積極的賛成という意味ではありません)それは、絶対に止めらないのと、交渉参加して日本だけがテーブルをひっくり返すような事は出来ないからです。

交渉参加という賽が投げられた以上は、いかに自国に有利な条件を勝ち取るしかありませんし、その交渉が出来るのは政府しかなく、その政府は二度も衆院選で勝利をしているわけです。結局は、民主主義というルールで国民がTPP参加を選んだわけです。

ただ、問題はこれからだと思います。「聖域を守れなかった」為かはやくもTPPに対する農業対策費の議論がでてきております。その対策費が世界と戦える為の農業に使われるのであれば、それは率先してやるべきですが、我が国は過去にウルグアイラウンド対策費として予算が計上されながら、世界で戦える農業の為にそれが使われないどころか、農業の保護にも役に立たなかったと悪い先例があります。

TPPが我が国に与える影響が政治にも経済にもプラスもマイナスもどのようになるかは分かりませんが、賽は投げられたわけですから、開かれた世界で我が国がしっかり勝負できるように、様々な制度をTPP後をにらんだカタチに一日でも早く変えていく事が政治の役目なのではないかと感じます。