衆院を通過し、現在参院で審議されている安保法案。私の考えは、安全保障に関しての法整備は必要だと思うが、憲法違反の疑いをかけられるような法律は出すべきではないし、さらに戦争参加への歯止めがきかなくなる恐れのある法案を認めるわけにはいかないという立場です。

ただ、今の国会の審議をみていると、この安保法案の中身の議論というよりも、揚げ足取り的な議論が多く、安全保障の問題の本質からだんだんと遠のいているように感じるのが残念でなりません。

賛成にしろ、反対にしろ、どちらでもないにしろ、色々な意味でこの問題、この法案を国民に考えてもらわないといけないわけですが、本質からずれていってる結果、わけのわからない議論になっているのではないでしょうか。

「ミサイルは弾薬か武器か?」といった質問にしろ、質問者の意図は後方支援の問題点を突きたいのでしょうけど、その定義や、「どれは武器か、弾薬か?」と細かく、国会の質疑でやるべき話なのかは疑問に思います。それよりも、どういった所に問題点があると反対の本質を説く方が国民も理解はするのではないでしょうか。

それと同じような話で、磯崎首相補佐官の出処進退に対する質問も辞任要求という形で行われました。確かに、磯崎首相補佐官のあの発言は問題があります。しかし、辞めるかどうか判断するのは本人であり、また安倍首相であります。そして、出処進退に対して判断するのは国民でありますから、一部の野党がこれみよがしに「辞めろ!辞めろ!」という要求し続けるのは建設的議論でもありませんし、安保法案の大事な審議が首相補佐官の進退に関する問題で時間が奪われる事の方がもったいない感じがします。同じ補佐官の発言問題で質問するのであれば、出処進退の話ではなく、内閣・官邸の思想や憲法観があまりにも危険であり、立憲主義を冒涜する行為である事を深く議論する事の方が、あの発言がどういう問題なのかを国民も理解できるのではないでしょうか。

いずれにしろ、この法案に関しては賛成でも、反対でも、真摯に、本質の議論をしていただきたいものです。