イギリスの大学で社会学を学ぶ前に、北アイルランド・ベルファストに滞在しそこで語学を学びました。

北アイルランドは私にとって「第二の故郷」のような場所で、今でもホストファミリーとは手紙などでやり取りをしております。

私が北アイルランドにいた時は、ちょうど北アイルランド紛争が和平合意した後でありました。和平合意後といっても、小規模な爆弾テロのようなものは私がいた間も繰り返されておりましたし、街には機関銃を持った警察や軍隊がいたり、毎日のようにはるか彼方の上空で警察のヘリが待機して監視しているような状態でありました。

平和な状態だけど、他の地域では味わえない非日常空間がベルファストには存在しておりました。

この北アイルランド問題をみていると、いずれ沖縄も同じような状態になるのではないかと大変危惧しております。

北アイルランド問題は、イギリス最大の政治問題でありました。1541年にヘンリー8世(イングランド王)がアイルランド王を自称してからこの問題はスタートしたのかもしれません。その後、アイルランド人による民族運動が過熱し、アルスター地方(北アイルランド)を除くアイルランドが独立し、様々な対立を繰り返し1998年の和平合意へなりました。

1922年に内戦を経てイギリス連邦にはとどまる形でアイルランドは独立します。独立するまでに300年以上かかり、北アイルランド問題の和平合意までが450年かかっております。

今、沖縄でも普天間移設問題を巡り「沖縄独立」論さえも論じられるようになってきました。すぐすぐ独立につながるとは思えませんが、50年、100年というスパンでみた場合に独立運動に発展しないとはいいきれません。むしろ、今のように政府が沖縄の民意を無視するような形で押し切れば、それは民族のプライドを傷つけ、独立運動へとつながるのではないかと大変危惧しております。

北アイルランドでアイルランド系でもなく、イングランド系でもない「第三国人」として冷静に彼の地で彼らを見れたわけですが、宗教や民族の違いで和平合意後も微妙にいがみ合う姿が忘れられませんし、同じような悲劇をこの日本で決して繰り返してはいけないのだと感じます。