先日、ある観光業の方とお話をすると年々宮崎市に宿泊する客が減ってきていると言われました。

確かに観光客数は2012年と2013年を比べると34万8千人増えているようですが、宿泊者は43万7千人に減っているようです。

理由は色々あるのでしょうが、宿泊滞在するだけの観光コンテンツが足りないのかもしれませんし、夜は霧島や阿蘇で泊まりたいと思われているのかもしれません。

そんな中、カジノに対して淡い期待を持たれる方々が多いように感じます。先日も、宮崎の官民の団体がシンガポールにカジノやコンベンションの施設を見学に行かれたようです。

私は何度もこれまで述べてきておりますが、カジノは経済効果を生まないと思っております。そのような中で財政規模も小さく、財政状態も決して良いとは言えない宮崎県がカジノに飛びつこうとする考えはとても危険であり、これまでの失敗を繰り返す事になりかねないのではないかと感じます。

シティ・グループの試算によると、カジノの経済効果は年間1.5兆円だと言われております。
これは国内で東京・大阪・沖縄の三ヶ所でカジノを解禁した場合の試算のようです。これまでも述べてきておりますが、首都圏・関西圏そして沖縄はカジノの可能性を秘めており、別の言い方をすればそれ以外の地域はカジノの成功は大変厳しいと言われております。シティ・グループの試算は冷静な分析なのではないかと思います。

ただ、そのシティの分析でもその内訳をみると、「どうなんだろう?」と思ってしまう事があります。年間収入1.5兆円の内訳ですが3300億円は外国人からで全体の約2割を占めておりますが、現在の訪日外国人は約1000万人です。カジノはハイローラーが支えているとはいえ、単純計算をしればこの1000万人の外国人観光客が一人3万円損をしてもらわないとこの数字には到達しません。

内訳の残りの1.2兆円ですが、これは日本人からです。この試算も現在3兆円産業と言われるパチンコから試算しているようです。1260万人がパチンコをし、一人あたり23万円負担しているようです。その半分の690万人がカジノに行き、一人あたり17万円負けると約1.2兆円になるようです。

果たして、このようなバラ色のような皮算用ができるのでしょうか??

ちなみに、世界の例を見ても決してカジノが盛んだとはいえません。

ご存知のようにラスベガスは今やカジノの街というよりもエンターテーメントの街へと変貌しております。

マカオは特別で年間4兆5000億円とラスベガスの7倍の売り上げをほこっておりますが、同じアジアに目を向けてみると、今、日本が参考にしているシンガポールで年間6000億円です。同じアジアでは韓国が日本人のカジノ客を取り込んでいると言われておりますが、それでも年間2470億円にしかなりません。

シンガポールの場合は国内客のカジノ利用には約8000円の入場料を取っているので、売り上げの大半は中国からの方のようです。

韓国の場合は国内に7ヶ所カジノがあるのですが、その内一ヶ所だけ韓国人に解禁しており韓国内のカジノの売り上げの半分はそこで得ているようです。

これらの事を考えて、更に今まで私がこのブログで述べてきた事も考えて議論すれば、カジノは決してバラ色ではなく、カジノに地域経済の浮揚を期待するのであれば、それは間違いなく失敗するのではないでしょうか。

それよりも、宮崎は最先端の医療を提供できるような医療ツーリズムなどに力を入れた方が個人的には面白いのではないかと感じます。