今月24日にも召集される通常国会において、熱気を帯びてきているカジノ法案(特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律案・IR推進法)が審議、成立するのではないかと言われている。




市場規模が1兆円ともいわれる日本において自民党のみならず、各党が推進し、超党派で法案を後押ししている。



個人的にはカジノの合法化に異を唱えているわけではないが、推進しようとしている政府やそのご利益を授かりたい地方自治体が思い描いている程、薔薇色ではないのではないかと思う。




カジノといえば、ラスベガスやマカオなどのイメージがあり、あのような幻想を多くの関係者が抱いているのかもしれない。しかしながら、ラスベガスやマカオでのカジノの成功の背景には様々な要因があるのではないだろうか。



まずは、カジノ先進都市のような「レート」や「控除率」で魅力あるカジノを演出できるかにかかっている。この点はマカオのカジノが成功している一つの要因といえ、それで世界の富がマカオに集まり、今ではマカオの方がラスベガスより魅力的なカジノとなっている。マカオの市場規模はラスベガスの6倍の年間3兆円となっている。様々な公営ギャンブルが存在する日本においてカジノだけが特別視されるわけではなく、それらのハードルを一つ越えなければならない。





次に世界各国のカジノの成功例は、いかに自国民だけでなく外国人にカジノを楽しんでもらえるかにかかっている。





先日、訪日外国人数1000万人を達成しましたが、外国人受入数では日本はそれでも世界第33位で欧米やアジアの主要国と比べると後れを取っている。特にマカオは中国本土を中心に2200万人~2500万人もの観光客を受け入れている。(ラスベガスの観光客数は3700万人)




アジア各国にはカジノを有するマカオやシンガポール、韓国といった国々がある。そのような意味では、「卵が先か 鶏が先か」の議論になるが、観光客を増やす手段を考えなければ外国人から見て魅力のあるカジノにはならない。



また、マカオもラスベガスもカジノ以外の「エンターテイメント」が充実しており、それも急成長の要因になっている。




カジノが成功するには「外国人数」と「エンターテイメント」という要素も必要になり、日本でその要件を満たすのはごくごく限られた都市になるのではないだろうか。



世界でカジノを運営する関係者たちの目には「東京と大阪が理想的な場所」映っている。





私も東京・大阪・沖縄以外の都市でのカジノの成功は一部を除き難しいのではないかと思う。





特に、私の地元の宮崎において官民あげてカジノを推進・誘致をしようという動きがあるが、果たして仮に誘致に成功したとして、カジノそのものが宮崎に与える経済効果は少ないのではないかと思う。





日本を訪問する外国人宿泊客の45%が関東で宿泊し、19.2%が近畿に宿泊している。地方ブロックでみれば、九州は北海道と並んで多いほうですが、それでも8.3%しかない。









九州に宿泊する外国人数は



福岡512200

佐賀45490

長崎410070

熊本364100

大分3152700

宮崎79490

鹿児島118270




宮崎は九州に宿泊する外国人の4.3%しかシェアがありません。カジノ誘致で外国人観光客が増えるという事はないだろうし、アジア主要都市等を結ぶ航空路もクルーズ船のファーストポート機能もない宮崎においては今後も外国人観光客が激増する可能性はほとんどないのではないだろうか。




じゃあ、一体 宮崎にカジノを作った場合、ターゲットは誰になるのか?



今度のカジノ法では、国内に10ヶ所程度カジノが認められるのではないかと言われている。九州においてはハウステンボスを有する長崎も手をあげているし、近くにおいては誘致される可能性が極めて高い沖縄もある。ちなみに日本人を含む宿泊者数は長崎は4322380人で、沖縄は5924700人(うち外国人382500人)となる。





これらの地域がライバルになるのかどうかは、分からないが、国内に10ヶ所程度カジノが認められ、分散されれば、それこそカジノによる経済効果は宮崎では期待できない。





今のままでは、宮崎はシーガイア破綻で痛い経験をした「リゾート法」の失敗を繰り返す事になるのではないだろうか。





カジノが解禁されているお隣の韓国では自国民は入れず、外国人向けのカジノになっているが、唯一一ヶ所 韓国人が入れるカジノが存在する。しかし、そこでは依存症や自殺など社会問題も引き起こしている。





それらを考えれば、日本人も入れるカジノになれば同じような現象が宮崎でも起こる可能性も高い。





個人的な考えとしては、カジノを合法化するのではあれば東京や大阪など一部の都市にし、宮崎は自然を活かしたグリーンツーリズムや神話を活かした観光に磨きをかけ、同時に外国人を対象に先端医療を受けれる医療ツーリズムに力をいれるべきだと考える。





いずれにしろ、宮崎にはカジノはいらないのではないだろうか?