北朝鮮の張成沢氏の処刑は、ルーマニアのチャウシェスク大統領(当時)が処刑された時と同じような衝撃でした。


チャウシェスクとは違うものの、権力のトップにいた者が簡単に処刑される光景は、自由と民主主義を標榜する国ではあまりにもありえない出来事であり、今後の東アジア情勢が尚一層、不透明になってきたのではないでしょうか。


この張成沢氏の処刑によって、これまで以上に北は目標と掲げる「強盛大国」実現の為に先軍政治が進むのかもしれません。


ただ、この張氏の粛清は今も謎が多く、今後の北挑戦がどのような方針を取る可能性があるのか、我々はしっかり分析しなければならないのではないでしょうか。


ある情報筋によると、張氏は日本に対する情報提供者でもあったと言われております。完全なスパイとは言えないのかもしれませんが、それなりの情報が張氏を通して日本に得られていたとすれば、重要な情報を持っていた協力者が失われた痛手は大きいはずです。


あと注視しなければならないのは、北と中国、北と米国との関係です。


金正恩氏はトップ就任以来、一度も中国を訪問しておらず中国と距離を取りたがっているとも言われており、今回の粛清とそれが絡んでいるという見方もあります。


今後、全く検討はつきませんが、北は核とミサイル開発に力を注ぎ、アメリカに振り向いてもらい、その後に開発を放棄する代わりに、米と手を結ぶというシナリオも想定されるのかもしれません。


その様な見方に立てば、NBAのスターだったロッドマンを北に積極的に招致する姿はその伏線にほかならないのもしれません。


いずれにしろ、我が国の安全保障上、また、解決できていない拉致問題を、左右する出来事が朝鮮半島で起こっております