いつきブログ 外山イツキ(外山斎)公式ブログ|参議院議員|宮崎県選出
原子力安全・保安院は昨日、福島第一原発事故の暫定評価を「レベル7」に引き上げると発表し、国内外に様々な反響を及ぼしている。


「レベル7」といえば、チェルノブイリ原発事故と同レベルであり、多くの方がイメージとして、あのチェルノブイリの深刻さととらえているのではないでしょうか。



しかし、チェルノブイリ原発事故と福島原発事故は以前も書いたようにかなりの違いがあります。放出されている放射性物質の量も中身も違う。国際基準では「レベル5」までは、原子炉の状況、「レベル6,7」は外に放出された状態を示すわけですが、そのような意味からも当初のレベルの設定自体が低かったわけです。ロシアのロスアトム(国営原子力企業)の報道官も報道によれば「当初の日本政府の水準は低すぎたが、今度は振り子が反対側に振れ、今の水準は高すぎる。」と指摘しております。



イメージとして、レベルが上がれば、危険性が増えたと受け止めるわけですから、当初のレベル設定を過小に評価した事は大きな影響をあらゆる所に及ぼします。



現在の状況は、95%以上の放射性物質は中にとどまっている状態でありますし、原子炉の温度の状態も一瞬上がった時もありますが、この困難な状況下では低く抑えられております。ヨウ素、セシウムは200℃位で放出されますが、コバルト、ストロンチウムは2000℃位まで上昇しないと放出されない。プルトニウムにいたっては2800℃位であります。現在の原子炉の状態からは、例外はあるかもしれないが、ヨウ素、セシウム以外はほとんど放出されていないのが現状であり、また、出荷制限や摂取制限をかけている以上、内部被曝の危険性は極めて低いわけです。



私は「だから、安全だから大丈夫」と言っているのではなく、危険性は取り除かれた状態ではありませんが、深刻さの度合いが違うのではないかと思います。そのような意味では、確かに福島第一原発の状態は安全といえる状況ではありませんが、私はこの引き上げというのは唐突すぎたのではないかと思います。昨夕の読売新聞でも斎藤伸三・日本原子力学会元会長が「現段階でレベル7に引き上げるという判断は時期尚早ではないか。」とコメントをされておりました。



先日、お会いした教授が「怖がるなら、正しく怖がりましょう」と言われておりましたが、ほんと正しい情報を理解しなければなりません。だからこそ、政府は正確な情報を開示し、伝える責任があります。しかし、現状は、レベルの問題にしろ、避難の問題にしろ、政府が右往左往し、国民の不安は増し、社会が混乱している。政府が混乱に拍車をかけていると言っても過言ではない状況が生まれております。



今、我々が全力をあげなければならない事は、まず原子炉の冷却作業を続け、放射性物質を閉じ込め、汚染された水の処理を急ぐ事。そして、しっかりとしたモニタリングを行い、正しい情報を国民に伝え、補償が必要な方々にはしっかり補償を行っていく事。それらを急いでやらなければなりません。



昨日のプロ野球開幕戦では東北楽天イーグルスが逆転勝ちをし、被災地の方々に元気を分けてくださいました。皆で、この国難を乗り越えなければなりません。