メンバーに参加した当初、練習が厳しいであろう事は覚悟していたが、正直、合宿は想定外だった。
2日間の合宿練習が終わり帰りの電車の中、夕日を浴びながら放心状態。ゾンビ状態と言っても過言ではない。
ふと斜め前を見ると、そこにはジャージを着た高校生が4、5人。
どうやら剣道部らしい。
同じように窓の外を見つめたまま放心状態。
心の中で拳を握りしめ叫んだ。
「君達も合宿か!おばちゃんも合宿だったぞ!おばちゃんも頑張った!」
あの時夕日の中で握りしめた拳は、生涯忘れないだろう。
そして、公演が終わってもきっと思うに違いない。
「来週の日曜のお稽古、場所どこだっけ?」
山越三希