勉強と性格の関係 | ロサンゼルスの学習塾「優塾」の元塾頭のブログ

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カリフォルニア州において生徒数1位だった学習塾「優塾」の元塾頭による教育と子育てに関するコラム

勉強できる、学力が伸びる性格(性質)ってなんだろう。

子供に勉強を教えているといつも思います。

 

いくつか挙げると、

向上心がある、

努力を厭わない、

知的好奇心が強い、

いろいろなものに興味を持つ、

負けず嫌い、

勉強に対して自信がある、

素直・・・などなど。

たくさんあると思いますが、

いくつかの性格について書いていきます。

 

まずは「向上心がある」、「努力を厭わない」。

勉強ができて当たり前ですよね。

ただ、「向上心を持ちなさい」って言っても持ってくれないし、

「努力をしなさい」って言っても、

なかなか努力してくれないから困ってるんで、

これは今回は考えないことにします。

 

「知的好奇心が強い」 

間違いなく勉強ができる子に多い性格です。

いや、性質ですかね。

だから子供をそうしたいんですが、ただ問題は、

好奇心が強いか弱いかは持って生まれた資質であり、

親や先生が「好奇心を持ちなさい」と言っても

そうなってはくれないことです。

よってこれも除外。

 

「いろいろなものに興味を持つ」

ここでは興味の対象を知的なものに限り、

スポーツや娯楽は除きます。

興味を持つというのは、

好奇心が強いと似ていますが私の感覚としては、

好奇心よりももうちょっと

後天的なニュアンスが入っているような感じです。

子育ての本なんかによく書いてありますよね。

子供がそれに興味を持つような環境においておくことが大事。

そうすると子供は自然に興味を持つようになる。

そうかもしれませんが、そうでないかもしれない。

きちんとした統計が出ているわけではないので、

どこまで正しいのか定かではありません。

 

私の母は、子供を理系に育てたかったようで、

家には「はじめてであう数学の絵本」、

「πの話」などの数学系の子供向けの本が何冊もありましたし、

パズルの本もたくさんありました。

結果、4人兄弟のうち、

3人が理系で1人が文系の道に進んだので、

もしかしたら効果があったのかもしれませんが、

ただ父親も理系ですから

その血を引いただけなのかもしれません。

 

「負けず嫌い」

これについては思い出があります。

もう何年も前のことですが、

勉強ができる何人かの子が負けず嫌いなことに気がつきました。

勉強できる子全員が負けず嫌いというわけではありませんが、

負けず嫌いな子に勉強ができない子はいないのです。

ある子は100点を取れなかったときに悔しがり、

ある子は簡単な問題を間違えてこっそりと涙を流し、

ある子ははっきりと「私、負けず嫌いなの」と言いました。

そこで考えました。

じゃあ、子供を負けず嫌いにすれば

勉強ができるようになるのではないか、と。

そして、授業中に子供たちのテストが悪かったときに

「こんな点数とって、恥ずかしくない?」と言ったり、

生徒が間違えたときに

「だめじゃん、こんな簡単なの間違えて。

自分で情けないと思わない?」と言ったり、

そのほかにも叱咤激励ではなく、

軽く貶したり嘲ったり罵倒したりして、

子供に悔しいという気持ちを持たせようとしました。

でも、それで子供を負けず嫌いにすることは

なかなかできませんでした。

 

そんなことを悩んでいたある日、

プライベートでテニスをやっている時、

とてつもなく運動神経が良く、

めちゃくちゃテニスが強い友人

(彼は20歳でテニスを始めて3年後に

インカレ ベスト4の選手に勝ったんです)

が、ぼそっと独り言

「スポーツじゃ負けず嫌いなんだけど、

なんで勉強でそうならんかったんだろ」

(彼は勉強が苦手だったそうです)と言うのを聞いて、

はっと気がつきました。

そっかぁ、実力がある人が負けず嫌いになるのであって、

負けず嫌いだから実力がつくのではないのだと。

よく考えてみれば当たり前の話で、

しょっちゅう負けているのに負けず嫌いだったら、

嫌いなことばかりが起こってストレスが溜まって大変です。

勉強ができる子はテストで悪い点数を取ることが

ほとんど無いので、

悪い点数を取ったときは悔しくなり負けず嫌いになるけれども、

しょっちゅう悪い点数を取っている子は、

それに慣れてしまって悪い点数を取っても悔しくなくなるんだと。

それが分かってからは、

子供を負けず嫌いにしようという試みは止めました。

 

「勉強に対して自信がある」

自信については以前この教育通信で書いたので

簡単に書きます。

これは負けず嫌いと同じで、

勉強ができるから自信がつくのであって、

自信がつくと勉強ができるようになるわけではないのです。

さらには、学力以上の自信がつくと

それに安心してか全然伸びなくなるので、

過度に子供を励ましたり褒めたりして

自信をつけさせるべきではありません。

むしろ、自信は学力よりもほんのちょっと低いくらいが良く、

その方が自分の今の状況に不安を覚え、

努力をするようになります。

 

「素直さ」

勉強ができる子には素直な子が多く、

そして何より素直な子は伸びます。

これは、優塾の先生全員の意見が一致しましたし、

ある日本の予備校の先生も

「これからの受験は素直な子が成功する」と言っていました。

ホンダの創業者の本田宗一郎は、本の中で

「人間素直が一番」と書いていましたし、

ある有名な経営コンサルタントも、

経営者で伸びる人の条件の一つに

「素直であること」というのを挙げていました。

子供に限らず素直な人間は成長するようですね。

素直な子とは、人の話をよく聞き、

間違ったときはそれを素直に認め、

言い訳をせず、文句などは言わず、

やれと言われたことをやる、そんな子です。

 

素直じゃない子の例をいくつか挙げると、

先生が解き方などで

「こうやった方が、いいよ」とアドバイスしても

「でも、私この方法で慣れてるから」とか、

「その方法だと・・・」と自分のやり方に固執する子や、

先生が間違いを指摘したとき

「なんで間違ってるの? 絶対合ってるよ」と、

素直に自分の間違いを認めることができない子。

あと、宿題をやってこなかった時にいろいろと言い訳する子

などがそうです。

やって来なかったときはまず、

「やってきませんでした」と言い、

その後に先生が理由を聞いたら、理由を言えば良いんです。

それをうだうだ言い訳してはだめです。

 

以上、性格について書いてきましたが、

これらの中で一番もってもらいたい性格は、

勉強に対する積極性であり、素直さです。

好奇心が強い、努力を厭わない

などももちろん重要ではありますが、

これらはある程度持って生まれた素質でもあり、

また内面から沸きあがる感情という要素もあるので、

変えようと思ってもなかなかうまくいきません。

その点、積極性や素直さは、

根本から変えることは難しいかもしれませんが、

普段の言動や態度を変えることによって

ある程度は変えることができます。

ナポレオンは「人はその制服通りの人間になる」と言ったとか。

これは、制服を着てそのように振舞っていると、

内面までもその制服に合った人格になっていくということです。

 

 

積極性に関しては、子供たち、

特に中学生以上の子供たちには、

授業は先生が教えてくれるもの、と捉えるのではなく、

分からない所があるから訊きに行く、

先生はサポートしかしてくれないもの、

と考えて積極的に授業に臨んでもらいたいのです。

格言の「天は自ら助くる者を助く」ではないですが、

どこの先生でも自分で賢くなろうと思って努力する子を

優先して助ける、のです。

 

 

素直さに関しては、間違ったときは素直に認める、

ぶつぶつ不満を言わない、言い訳をしない、

褒められたら喜ぶ、言われたことはしっかりやる、

などを継続的に行い習慣にしてしまえば、

素直になっていきます。

それに、素直になると

人が優しく接してくれるようになってくるので、

楽しくなってますます素直になっていきますよ。

 

上に挙げた本田宗一郎や

経営コンサルタントの言葉からも分かるように、

素直な性格というのは、

子供のときだけでなく大人になってからも

大いに威力を発揮する、一生の財産になります。

 

 

親の役割は、子供に一生の財産を授けるべく、

子供の日ごろの受け答えおよび行動を見守り、

言い訳などをしたら注意し、

褒めるべきときは褒め、

素直な子になるべく育てていくことだと思うのですが、

いかがでしょうか。